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「生産性」論文 「個人として尊重される」はずでは

 ついにここまで来たかという底が抜けたような感じ。自民党の杉田水脈衆院議員は月刊誌『新潮45』8月号で「彼ら彼女ら(同性カップル)は子供を作らない、つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」との主張を展開した。

 杉田議員が「LGBTだからといって、実際そんなに差別されているものでしょうか」と述べたことに対し、差別禁止法制定を訴える「LGBT法連合会」が7月23日、「LGBTの当事者が、(中略)カップルのみならず個人としても、さまざまな差別やハラスメントを受けている(ことは事実)」と論ばくしたように、各界から批判が噴出したにもかかわらず、自民党の二階幹事長は会見で杉田議員の見解を事実上容認した。無理もない。二階幹事長は6月の講演で「このごろ、子どもを産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考えている人がいる」「皆が幸せになるために子どもをたくさん産み国も発展していこう」と述べているのであり、杉田議員と同じ発想に立っているのだ。

 相模原市の障害者施設襲撃事件から2周年のタイミングで、この論稿が世に出たという事実は、問題をさらに重苦しくしている。被告加害者は何と言ったか。障害者殺害で「世界経済の活性化(中略)ができるかもしれない」と手紙に書き、「世界に8億人の障害者がいて、その人たちに金が使われている。それを他に充てるべき」と語ったとされる。杉田議員と同じであり、むき出しの優生思想だ。

 松井大阪府知事が7月23日、ツイッターで「オカマもゲイも納税者だから生産はしてるでしょ」とコメント、翌日に不適切な表現があったと謝罪し、「性的マイノリティの皆さんも日本社会の中でさまざまな生産に携わっています」と「フォロー」したという経過は、問題の本質をかえってあらわにした。杉田議員の言う「生産性」は労働力人口の再生産に関わることであり、労働生産性のことではないという問題はことの本質ではない。世代的再生産を含めて労働力として、ほぼ同時に消費者として経済に貢献しない人間に存在意義なしというのが資本主義の本音であり、杉田議員は、今時たしなみのある者なら語らないことをおおっぴらにしただけだ。松井知事が同じコメントで、納税額ではなくニーズに基づく公共サービスの提供は恩恵とも取れる認識を示したことも、同じ思想に立脚している。

(社会新報2018年8月1日号・主張より)


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