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深まる加計疑惑 面会否定するだけでは説得力なし

 愛媛県が5月21日に参院予算委に提出した文書の中に、15年2月25日に加計学園の加計孝太郎理事長と安倍首相が面会したとの記述があったという問題は、依然として真相が闇の中だ。

 加計理事長は6月19日、「記憶にも記録にもなかった」と面会をあらためて否定。だが、その根拠を具体的に示すことはなかった。

 愛媛県文書の記述発覚後、首相は官邸だけでなく自宅を含めて面会を否定。しかし、首相も否定する根拠を示していない。追って5月26日、学園は「実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と(今治)市に誤った情報を与えた」との驚くべきコメントを発表した。うその情報を前提にその後官邸関係者が動いただけでなく、自治体という公的機関を引きずり回したことになる。獣医学部設置にあたり市が学園に約93億円を補助、県は市に約31億円を助成するという結果へと至ったプロセスに、虚偽情報が組み込まれていたというのだから、最低でも決定過程の徹底検証は当然の務めのはずだ。

 首相にとっても、うそ情報に行政の長たる自らの名前が使われたことは極めて重大問題のはずだが、抗議しないのかと国会で問われると「そもそもその理由がない」と言下に否定した。

 片や学園は、学園事務局長が「たぶん自分が言った」「その場の雰囲気で」とし、先の会見で理事長が事務局長の減給処分を発表したが、そのありさまは財務省森友処分の「理財局止まり」をほうふつとさせる。そもそも学園は、参院予算委が同29日、面会否定の根拠となる資料提出を求めたのに対し、6月7日に「確認中」との木で鼻をくくったような回答をしているのだ。

 だが、事態は必ずしも幕引きを狙う首相と学園の思惑通りに進んでいない。学園側の面会否定について文科省は当初事実確認の必要なしとの認識を示していたものの、県文書にある「面会時の学園提供資料」と符合する内容の文書の存在を認めたのは、その表れだ。

 首相は同18日の参院決算委で、学部新設に一転の曇りもないとして「ゆがめられた行政が正された」と言い放った。既得権を守るための「岩盤規制」を突破する規制緩和は正しかったのだから、自分が学部設置計画をいつ知ったかなどということは問題ではないとでも言いたげだが、それは違う。行政の公正性への疑念を払しょくできない現状では、何をやってもただの専横な振る舞いにすぎない。

(社会新報2018年6月27日号・主張より)


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