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米朝首脳会談 非核合意実現に協力していく道を

 史上初となった12日の米朝首脳会談は、「北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向け努力することを約束する」と4月の南北首脳会談で合意された「板門店宣言」の再確認をうたうとともに、「米朝両国は、朝鮮半島の永続的かつ安定的な平和体制の構築に共同で尽力する」とした共同声明を発表し、閉幕した。非核化への具体的な行程表が盛り込まれていないことに対し、否定的な論評が多く出されているが、一方で朝鮮戦争の終結についても明言されていない。北朝鮮が一方的かつ速やかに非核化をのむことを会談の成否の判断基準とする立場からは、結果は極めて不満なものとなるに違いないが、それは現実的でない以上、初の首脳会談によって示された変化を、冷静かつ客観的に評価すべきだろう。多くは今後の協議に委ねられてはいるものの、これまでになかったことが確実に始まったのだ。

 会談後の記者会見でトランプ米大統領が、多分に修辞的とはいえ、朝鮮戦争の惨禍に触れ、新たな戦争を回避する意向を語ったことには、率直に言って驚かされた。これらは安倍首相がついぞ述べたことがないものだ。加えて、米韓合同軍事演習を「ウォー・ゲーム」と呼び、「挑発的」「多額の費用」を理由に演習の中止、さらに在韓米軍削減にも言及。「完全な非核化にはかなりの時間がかかる」として、段階的非核化措置への理解もほのめかした。

 これらの変化は、いよいよ日本外交が試されるときが来たことを告げ知らせるものだ。米朝会談についてどこか人ごと感がぬぐえない評価しか示していない首相だが、拉致問題については米朝会談前から「最終的にわが国自身が北朝鮮と直接協議し解決をしていく」「私と金正恩委員長の間で解決をしなければならない」「日本と北朝鮮が直接向き合い解決していかなくてはいけない」と繰り返し、北朝鮮にメッセージを送っている。「拉致と核・ミサイルは一体」としてきた政府の原則的立場を、共同声明の履行に協力するという文脈にどう位置付け直すか、衆知を結集すべきときだ。

 対日関係ではトランプ氏の言動には懸念材料も多い。イラン核合意離脱、G7サミットの反保護主義宣言不承認など、多国間枠組みへの反発を隠さないトランプ氏は、米朝直前の日米首脳会談で、日米2国間通商協議の日程具体化を首相にのませた。米軍のプレゼンス縮小と日本の負担増がディールされるおそれがある。

(社会新報2018年6月20日号・主張より)


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