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米朝協議加速 「蚊帳の外」感強まるばかりの日本

 5月24日のトランプ米大統領の米朝首脳会談中止表明から一転、予断は許さないものの、首脳会談実現に向けた米朝の事前調整が板門店などで行なわれるという状況となっている。

 この間の動きはあまりに目まぐるしい。米韓合同軍事演習をめぐり5月中旬から米朝間の不協和音が高まっていたものの、米韓首脳会談と北朝鮮核実験場爆破直後のトランプ氏の中止表明に、戸惑いが全世界に広がった。ところがトランプ氏は翌25日、会談に向けた米朝対話を実施中だと明かし、26日には2度目の南北首脳会談が行なわれた。

 米朝間の虚々実々の駆け引きは容易ならざるものだ。トランプ氏は17日、「北朝鮮に対してリビア方式を全く考えていない」と明言したが、ペンス副大統領が21日、非核化に応じなければ「リビアの二の舞いになるだろう」と発言、北朝鮮は猛反発した(リビアは先行的核放棄後、NATO軍の軍事介入で政権が崩壊)。トランプ氏は24日公表の北朝鮮宛て書簡の中で「米国の核兵力はあまりにも大規模、強力で、私はそれが使われずに済むことを神に祈っている」との脅し文句を並べたが、その直前に収録されたと見られるテレビインタビューでは「段階的な非核化」の容認に言及しており、真意は図りがたい。

 それにしても、安倍首相がまとう「蚊帳の外」感は何なのか。「対話のための対話には意味がない」と言っていたが、米朝会談が決まると「歓迎する」に変わり、いったん中止が伝えられると「大統領の判断を尊重し支持する」と言い、会談復活の動きが明らかになると「必要不可欠」となる。米国の中止表明が伝えられた段階で首相、菅官房長官とも「大切なのは核、ミサイル、拉致」と口をそろえた。これは、それはそうだろうが、実は何も言っていないという言辞の典型だ。以前、拉致問題の「司令塔」を自負してみせた首相が、(G7首脳会談はすでに設定済みなのに)米朝会談の前の日米首脳会談の約束取りつけに血眼になっている姿は、哀切でさえある。

 2回目の会談で南北首脳は、朝鮮半島の完全な非核化および朝鮮戦争休戦協定の平和協定への転換で一致した「板門店宣言」の履行を強調した。長く周辺国の利害や思惑にほんろうされ、介入に苦しめられてきた朝鮮半島が、北東アジア地域の秩序形成と統合の主役・主体になるという決意は本物と見るべきではないか。日本にはこれがないのだ。

(社会新報2018年6月6日号・主張より)


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