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自衛官暴言 9条改悪と連動した文民統制危機

 防衛省統合幕僚監部に勤務する3等空佐が小西洋之参院議員(民進・当時)に暴言を吐いた問題で、同省は8日、3佐を懲戒でなく訓戒処分とした。理由は、「隊員は、…政治的行為をしてはならない」と定めた自衛隊法61条でなく、「品位を保つ義務」を定めた同法58条違反とした。しかし、同省の聴取で小西議員について「政府・自衛隊とは違う方向での対応が多い」との認識を持っていたと認めた3佐の行動が、「政治的行為」ではないという同省の対応には疑問が残る。

 1932年「5・15事件」での犬養首相暗殺を想起させる「国民の敵」と言ったかどうかについての両者の言い分は食い違ったままとなったが、社民党の照屋寛徳衆院議員が言うように「問題の本質は『国民の敵』と言った言わないではない。民主主義の基本である文民統制の信頼を揺るがしたこと」(10日、安保委員会)だ。訓戒処分は「適正に行なわれた」とし、「職務と関係ない私的な言動で文民統制に支障は来たさない」と言う小野寺防衛相の認識は、甘いと言うほかない。

 文民統制をめぐる状況は危機的だ。自衛隊「日報」隠ぺい問題でイラク日報の開示分は派遣期間の45%にとどまり、特に、宿営地がロケット弾などで攻撃された日の日報が破棄されたのではないかとの疑いは払しょくされていない。また南スーダン日報でも、河野克俊統幕長が、会見でいったん「昨年1月に日報データの存在について報告を受けていた」と発言し、翌日に撤回した問題は、真相が曖昧なままとなっている。河野統幕長といえば、法案未提出の段階で米軍幹部に安保法制成立の見込みを伝えた発言や、安倍首相の改憲案を「非常にありがたいこと」と述べたことなどで、まさに文民統制の観点から言動が問題視されてきた。

 自民党9条改憲案にある「内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊」との表現。これを文民統制規定だとして安心するわけにはいかない。「内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する」との現行自衛隊法の規定とは意味が異なるのだ。米国の大統領―国防長官―統合参謀本部議長という軍事指揮系統を模した首相―防衛相―統幕長というラインの上で、制服組(武官)トップたる統幕長が首相、防衛相の補佐の名の下で、強い実質的権限を振るう仕組みづくりが目指されていると見るべきであり、文民統制の本来の趣旨に逆行する。

(社会新報2018年5月23日号・主張より)


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