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麻生財務相暴走 「上から目線」もいいかげんにせよ

 麻生財務相の暴言が止まらない。「セクハラ罪っていう罪はない」と繰り返している。たいした問題ではないという底意が見え見えだ。おそらく「被害者の人権」という問題設定自体を受け付けないのだろう。

 「殺人とか強わいとは違う」と語る一方で、「罪としてはいわゆる親告罪」とも述べているが、意味が分からない。有名アイドルの未成年強制わいせつ事件(起訴猶予)で、性犯罪の非親告罪化が注目されているのをご存じないのか。

 福田淳一前財務事務次官のセクハラ問題へのこれまでの財務相の言動、財務省の対応は矛盾だらけだ。

 財務省の顧問弁護士に対して被害者の名乗り出を求めたことが、中立・公正な調査ができるのかと疑問視されたのに、財務相は「名乗り出ないと判断できない」と突っぱねた。福田前次官の辞任とテレビ朝日の「セクハラ被害があったと判断」との会見を受け、同省は前次官が否定するセクハラ行為があったと判断し、前次官の処分を行なった。しかし、財務相はその理由として「審議が止まるとか、財務省の信頼を落としたとか」と述べただけだった。

 財務相は「はめられて訴えられてるんじゃないか」「まだ(裁判に)訴えられているという話もない」と言い放っていたのに、財務省は処分をもって調査を打ち切り、理由は「時間をかけ過ぎることも被害者保護上問題」だからだとした。

 具体的な事実認定が必要なのではなかったのか。

 そもそも財務省の身内による調査が信用できるのか、という問題がある。何せ改ざんは「個人の資質の問題」と語る人物がトップなのだ。検察の捜査を理由に公文書改ざん問題の調査結果公表を同省は渋り続けている。既視感満載の光景だ。自衛隊「日報」問題は、防衛省の特別監察入りを理由に答弁が拒まれるようになり、そうこうしている間に当時の防衛相は辞任、日報は結局隠され続けた。

 さらに、刑事事件の捜査や裁判でもないのに、被害者からの聴取がなければ事実認定はできないと執ように繰り返した財務相らの姿勢は、あることを思い起こさせた。「慰安婦」問題で政府は、被害者からの聴取をしたにもかかわらず、狭義の強制があったことを示す公文書がないと言って、強制の証拠はないとしてきた。今回の問題で仮に被害者が聴取に応じたとしても、前次官が否定している以上、状況証拠だけでは判断不能とされたおそれが大きい。

(社会新報2018年5月16日号・主張より)


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