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シリア攻撃 イラク戦争と同じなのではないか

 米英仏は13日、シリアをミサイル攻撃した。シリアの要請による化学兵器禁止機関(OPCW)の現地調査が始まる前日だった。国連安保理決議もない明白な国連憲章違反の侵略行為だ。英国が安保理会合で「人道的介入」を持ち出したのは、武力行使を正当化する国際法上の根拠がないことの裏返しだ。米国は今回、自衛権行使に一切触れていない。誰が化学兵器を使ったか特定できない以上、積極的な対米支持はできないとしていた日本政府は今回も、米英仏の「決意を支持」し、「事態の悪化を防ぐための措置と理解」と、曖昧な支持表明を行なった。

 12年末ごろから指摘されるようになったシリアの化学兵器疑惑をめぐる経過は実に不明朗だ。シリアは13年9月に化学兵器禁止条約に加盟し、OPCWは14年7月に全量の国外搬出完了を発表。シリアは13年3月に反政府派による使用疑惑を主張し、国連は8月に調査団派遣を決めたが、同月に政権軍による別の使用疑惑が浮上、国連機関はこれについて使用者を特定できなかった。そうこうしている間に末期の米オバマ政権が15年10月、シリアへの地上軍派遣を決定。その規模は最初言われた「50人」から500人、ついに2000人へとふくれ上がった。

 この間、大きな変化があった。内戦でアサド政権側の優勢が確立し、政権軍を後押しするロシア軍は昨年12月、一部撤退を表明。トルコは今年1月、対IS戦で米軍と共闘してきたクルド人勢力をたたくためにシリア侵攻を開始。米国務長官が同月、シリア無期限駐留の方針を示した米軍について、トランプ大統領は3月、撤退する考えを表明した。米国のシリア軍事介入は矛盾を深めていたのだ。

 そればかりではない。「ボスが完全に支配し、道徳性や真実より上位に置かれた忠誠という規範のために、あらゆるうそをつく」。これは安倍政権のことではない。ロシア疑惑の捜査をめぐりトランプ大統領から解任されたコミー前FBI長官の大統領批判だ。大統領は、「ロシアに強く出る」姿勢を見せる必要に迫られていたと言っていい。

 内政上の動機も強く疑われる軍事行動に、その正当性を納得できる明確な根拠を求める方が無理筋かもしれない。問題は、軍事力をもてあそぶかのようなトランプ政権と「100%共にある」と言い切ってきたことのリスクと無責任さだ。安倍政権は泥沼に足を突っ込んでいるのではないか。

(社会新報2018年4月25日号・主張より)


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