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日報隠しの背景 憲法との矛盾隠ぺいが最大の動機

 自衛隊海外活動の「日報」問題が泥沼の様相を呈している。2日に「存在しない」としてきたイラク日報が陸自研究本部にあることが公表されると、実はそれは1年以上前に確認されたものということになり、空自でも発見されたとされ、今度は南スーダンPKO日報も新たに見つかった。

 これは一体何なのか。昨年2〜3月、前年末に「廃棄したので存在しない」と不開示決定された南スーダンPKOが統幕で発見、続いて陸自でも保管と発表された。「ない」はずの南スーダンを「あった」と認めて大騒ぎなのに、同じく「ない」としたイラクまで「あった」ということにはできないというのは、分かりやすい事情だ。しかし、問題はもっと根深い。

 そもそも南スーダン日報の問題は内戦を「戦闘」と報告した記述の問題だった。当時の稲田防衛相は「法的な意味での戦闘行為はなかった」として、これは「武力衝突」と答弁、国会は紛糾した。これまでの政府憲法解釈では、海外での武力行使は違憲であり、自衛隊員は戦闘行為はできない。だから同国の実情を記した日報は隠されなければならなかった。今回確認された日報には首都での内戦再発の様子に言及したものが含まれるとされていることは、これを裏書きしている。

 イラクも同様だ。「自衛隊の行く所が非戦闘地域」(当時の小泉首相)だったはずが、サマワの陸自宿営地への迫撃砲とロケット弾攻撃は計13回、22発に上ったとされる。名古屋高裁は空自の武装米兵輸送活動を違憲とする判決を出した。憲法との矛盾こそ、自衛隊の海外活動の実態を隠そうとする最大の動機なのだ。

 海外での武力行使の問題は、同時に米軍と自衛隊との一体化の問題であるため、情報隠ぺいの態度は結局、日米安保の運用全体を覆うことになる。直近でこのことを端的に示したのが、横田基地に対する米空軍オスプレイ配備前倒し情報の隠ぺいだろう。政府は3月16日には米側から通告されていたのに、オスプレイが横浜港に着く4月3日まで隠し続けていたのだという。

 文民統制との関連で言えば、その暗い将来を暗示するように、日報問題のさなかに「陸上総隊」が発足したことは象徴的だ。新設の総隊司令官は直属の旧中央即応集団の指揮権をはじめ強い権限を持つ。「内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊」と憲法に書けば済むという問題ではもはやない。

(社会新報2018年4月18日号・主張より)


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