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9条改憲案 これで「違憲論争」が終わるはずはない

 自民党憲法改正推進本部は3月25日の同党大会で、「改憲4項目」の方向性を報告したが、改憲案の確定には至らなかった。森友公文書改ざんによる内閣支持率の急降下のあおりを受けたことは間違いないものの、同党内の憲法論議自体の混乱も影を落としている。

 「9条の2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛のための措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。

 A自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する」。最有力とされる9条改定案だ。

 この間、同党内では、@9条2項を削除し、「国防軍」あるいは自衛隊の保持を明記する案A2項を維持しつつ、「必要最小限度の実力組織として」自衛隊を保持するとした案B2項を維持しつつ、1、2項の規定は「自衛権の発動(あるいは行使)を妨げない」とする案  を軸として議論が行なわれていた。しかし、「必要最小限度」や「自衛権」の規定は新たな論争を招きかねないとして、前述の「有力案」が浮上した。

 一見して明らかなように、「必要な自衛のための措置」は、59年砂川事件最高裁判決以来、14年の(武力行使の新3要件を含む)集団的自衛権行使容認の閣議決定へと引き継がれてきたキーワードであるし、「必要最小限度の実力組織」は、自衛隊を合憲(非戦力)とする従来の政府憲法解釈の「わが国を防衛するための必要最小限度の実力組織」を想起させる。結局、「専守防衛」を柱とする戦後確立された政府憲法解釈との溝をなるべく際立たせずに、すなわち、なるべく集団的自衛権を目立たせずに、その行使容認を読み込める表現を探るということが、9条論議の核心であったことが分かる。これで「自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打つ」(安倍首相)ことは望むべくもない。

 文民統制規定はくせ者だ。自衛隊の任務・権限が曖昧であるのと同時に、「政」の「軍」に対する優位と統制が明確でないことが「9条加憲」論への批判の中心を占めていたからだ。しかし、自衛隊をめぐる憲法解釈を一層混迷させる改憲案に、文民統制が明記されたからといって、気休めにもならない。次回は他の改憲項目についても検討する。

(社会新報2018年4月4日号・主張より)


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