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米朝協議へ 日本外交も根本的に方向転換せよ

 安倍政権の行き詰まりが劇的に進んでいる。財務省による公文書改ざん発覚を受けて安倍首相は「なぜこんなことが起きたのか」と述べたが、しらじらしい限りだ。それを一番知っているのは首相自身ではないか。

 外交面でも、5、6両日の韓国特使団の訪朝以降、4月の南北首脳会談、5月の米朝首脳会談合意が矢継ぎ早に発表され、安倍外交は急速に色あせつつある。あわてた官邸筋は「圧力最大化政策が功を奏したものであり首相のシナリオ通り」とのキャンペーンを始めたようだが、これもしらじらしい。「対話のための対話に意味はない」と繰り返してきたのは誰なのか。

 この間、中国などが、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核・ミサイル実験と米韓合同軍事演習の相互停止を条件とする朝鮮半島非核化と米朝正常化に向けた協議の開始を主張し、米国は、北朝鮮の非核化に向けた具体的行動が対話の前提だとする状況が続いていたが、北朝鮮側が今回、対話が続く間の核・ミサイル実験停止と非核化問題を話し合うための対米協議を表明したことで、米側は、対話を拒否する理由はなくなったと判断するに至った。安倍政権は、こうした大きな局面転換をもたらした南北協議を、成果のない「対話のための対話」だと突き放すことがもはやできなくなったのだ。このことを明確に認めてはどうなのか。

 今回の米朝協議開始合意に至る経過を見ると、対米提案が実質的に南北共同のプロジェクトとして行なわれたことが分かる。それは、日本外交の完全な不在を際立たせてもいる。しかし、日本政府が好むと好まざるとを問わず、日本が局外者であり続けることは困難な情勢だ。日朝正常化に向けた、日朝首脳会談を含むプロセスの再始動も、視野に入れざるを得なくなったと認識するべきだろう。

 日朝平壌宣言を振り返るまでもなく、日朝間には植民地支配の過去の清算や拉致問題という未解決の2国間の懸案が横たわっている。しかも、20年東京五輪も控え、東アジアの戦争回避と平和体制の構築は、日本および東アジアの諸国民にとって文字通り死活的な問題だ。韓国政府の行動からは、この切迫感が伝わってくるのに対し、日本政府の振る舞いは、「日米は100%共にある」と宣言し、日米軍事一体化を進めるだけだったと言い切れる。根本的な方向転換が求められている。安倍政権にそれができないなら退陣すべきだ。

(社会新報2018年3月21日号・主張より)


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