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名護市長選 住民を守る砦の大切さ再認識迫る

 4日に行なわれた名護市長選は、3選を目指した稲嶺前市長が敗北するという大変残念な結果となった。

 ところでこの選挙結果について、菅官房長官は8日の記者会見で「選挙は結果が全てだ。相手(稲嶺)候補は必死に埋め立て阻止を訴えたのではないか。民主主義の原点がこの選挙だ」とご託宣を垂れたことは見逃せない。周知の通り渡具知新市長は選挙戦で辺野古新基地建設への賛否を明確にしなかったというのに。そればかりか、前回14年の県知事選はもちろん、複数回にわたる名護市長選、同市議選、沖縄県議選、そして総選挙で新基地反対を争点として訴えた候補が勝利、あるいは多数を占め、これ以上ないと言うぐらい民意がはっきり示されたにもかかわらず、これを無視して工事を進めてきたのが政府だ。争点隠しで得られた国策に沿う選挙結果だけを歓迎するのが、どうして「民主主義の原点」なのか。

 政府は、国策受け入れを前提とする米軍再編交付金を、小野寺防衛相が遡及(そきゅう)交付は否定したものの、17、18両年度分計30億円を同市に交付する方針であり、新市長はこれを受け取る意向だ。こればかりではない。交付金を拒否する市の頭越しに15年度から建設予定地に近い3つの行政区(久辺3区)に直接交付されてきた交付金は、審議中の18年度予算案で1・2億円が計上されたまま。また、県を経由しない北部振興事業予算もある。

 見ての通り、カネの力で自治をねじふせようというのが、政府の言う「民主主義の原点」にほかならない。しかし、国(中央政府)に万事任せていて、本当に地域住民の安全な生活は守れるのか。これは、公害問題や原発問題などで問われてきたことであるし、沖縄では文字通り今、基地被害として問われていることだ。これらは、条例制定など自治体(地方政府)の権限行使の形で取り組まれることもあるし、「エネルギー自治」など自治体と住民の共同事業として推進されている場合もある。沖縄においては、国に追随していてはまさに「人間の安全保障」はおぼつかないとの認識が県民の間で広く共有されており、「外交・安全保障は国の専管事項」なる言い方は通用するものではない。

 そうだからこそ政府は、トップダウンの「特区制度」というまがい物の「分権」を悪用する一方で、「自治」のじゅうりんに血道を上げる。統一自治体選の焦点が見えてくるのではないか。

(社会新報2018年2月21日号・主張より)


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