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「慰安婦」合意 問題は「未解決」だとまずは認めよ

 「政権が代わっても約束を守っていくのは国際的、普遍的な原則だ。韓国側が一方的にさらなる措置を求めていることは全く受け入れられない。慰安婦問題を最終的、不可逆的に解決するための合意であり、もう最終的に解決したとわれわれは考えている」(1月15日、安倍首相)。

 首相は2月9日に訪韓し首脳会談で「合意を1_たりとも動かす考えはない」(菅官房長官)との考えを伝える予定だ。自民党内では日本人の怒りをぶつけろとの声が渦巻いているという。「慰安婦」問題で糾弾の声を上げるのは加害者の方だという、倒錯した主張がまかり通っているのだ。一体どういうことなのか。

 少し経過を振り返ろう。昨年12月末、韓国政府の検証チームは15年末の日韓合意について「被害者らが受け入れない限り、政府間で『最終的・不可逆的解決』を宣言しても、問題は再燃するしかない」とする検証結果を公表。文大統領は「この合意では慰安婦問題は解決されない」との声明を発表した。年が明けると、韓国政府は「日本側が自ら、被害者の名誉と尊厳の回復と心の癒やしに向けた努力を続けてくれることを期待する」との「新方針」を表明、追加措置を求める考えはないとした。安倍首相らの発言はこれへの反応だ。

 この「被害者中心アプローチ」は国連の関係機関の見解で何度も繰り返されてきたものであり、極めて正当だ。しかも、15年合意に立ち返ったとしても、問題が本当に「最終的かつ不可逆的に解決される」ために日本に問われてきたことだ。すなわち、合意では「日本政府は責任を痛感」「安倍総理大臣は、…心からおわびと反省の気持ちを表明」とされたものの、いかなる事実およびその責任を認め、謝罪するのか、ここでは明らかにされていない。日本政府が従来「解決済み」「(謝罪の証としての)賠償金は出さない」と言ってきたことと、「心の傷を癒やす措置」のための資金拠出との関係も、故意に曖昧にされている。つまり、「さらなる措置」以前の問題がまだ残ったままなのだ。

 首相が戦後70年談話で「子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と語ったように、とにかく問題を「終わらせる」ことが政府の目的だった。その結果がこれなのだから、仮に政府の立場に立ったとしても外交の失敗は明らかであり、政府はまずこれを認めるべきだ。

(社会新報2018年2月7日号・主張より)


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