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海上阻止行動 密輸監視から戦争まで切れ目なし

 9日の南北閣僚級会談で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の韓国・平昌冬季五輪参加が合意されて以降、緊張緩和の流れが形作られる一方で、気になる動きも進んでいる。自衛隊の海上阻止行動参加だ。

 国連安保理の北朝鮮制裁決議を履行するため海上自衛隊艦艇が黄海や日本海の公海上で警戒監視にあたっていると、13日に一斉報道された。追って24日、北朝鮮籍船とドミニカ籍船が積み荷を移し替えていることを海自が20日に確認したと、日本政府筋が認めた。昨年末、台湾企業が借り上げた香港籍船から北朝鮮籍船が石油製品を密輸していたと韓国などが明らかにし、米国は中ロへの圧力を強め、16日の20ヵ国外相会合では海上阻止行動強化がうたわれた。海自の動きをめぐる報道が、この流れの上にあることは明らかだろう。

 一連の安保理の制裁決議は北朝鮮籍船への海上での積み荷移し替えを禁止し、石油精製品輸出の9割削減も決めているが、船舶検査や押収は北朝鮮の同意の上で加盟国の港や領海内で行なう場合に限られている。

 では、これと日本の法制度がどう関わるかが問題となるが、まず、周辺事態に限定されていた船舶検査法の適用が「重要影響事態」および国際平和支援法の「国際平和共同対処事態」に拡張され、船長の乗船検査への同意など従来の制約を一定維持しつつ、同意を前提として外国領域での活動も可能となった。併せて、日本有事における海上輸送規制法発動が「存立危機事態」にも拡大され、これも地理的限定のない強制的な臨検という形で、事実上の交戦権行使への踏み込みが明確となった。つまり、船舶検査のための強制停船や拿捕(だほ)、それに応じなければ任務遂行のための武器使用ができるのだ。

 海上阻止行動と言えば、少し前までPSI(大量破壊兵器拡散阻止構想)として語られ、そのための国際共同訓練も宣伝されていた。また、日米防衛ガイドラインがかねてから強調してきた情報収集、警戒監視および偵察(ISR)活動も、文字通り「防衛協力」として理解されてきたはずだ。それが今や「密輸監視」のための活動に化けている。

 しかも、この禁製品取引を阻止する行動が、経済制裁の実効性うんぬんという枠を超え、直ちに戦争へとつながるという性格を持っていることは重大だ。マティス米国防長官が言う「戦争計画」の一環に自ら組み込まれたのではないか。

(社会新報2018年1月31日号・主張より)


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