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陸上イージス 敵基地攻撃の巡航ミサイルとセット

 6年連続増、またも過去最高を更新した18年度政府予算案の防衛費。長距離巡航ミサイル導入関連経費と並んで、その性格を象徴するのが、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入経費だ。ハワイを訪れた小野寺防衛相は10日、イージス・アショアを視察し、「いずれ巡航ミサイルなどミサイル防衛に総合的に役立つ基礎的なインフラに発展させていきたい」とした。巡航ミサイルも対象とする統合防空ミサイル防衛(IAMD)構想を新防衛計画大綱に盛り込む意欲の表明であり、相次ぐ沖縄の米軍機事故について、県内飛行停止要求どころか抗議もしないことと対照的な態度となった。

 2機を導入予定のイージス・アショアは、1基1000億円。昨年12月の自民党部会の席上、政府側が、800億円の見積り額より高いことを明らかにしたわけだが、これは裏を返せば、与党内の検討を待つまでもなく、23年度運用開始という日程が官邸主導で決まったことを意味している。

 しかし、「北朝鮮ミサイルの脅威」を理由としたイージス・アショアは、一体何の役に立つのか。大気圏外で弾道ミサイルを撃ち落とすというが、別に弾道ミサイルを使わなくても、北朝鮮が在日米軍基地などを攻撃する手段は他にもあるし、同時発射された多数のミサイル迎撃も無理だとされている。では、米国領土に向けて撃たれたミサイルの撃墜が真の目的ということになるが、米領に向け発射されたミサイルを日本から後追いして撃ち落とすことは困難視されており、それならグアムやハワイ周辺にイージス艦を配備しておく方がよほど合理的だ。

 米国は16年、ルーマニアで初めて陸上型イージスの運用を始めた(追ってポーランドに配備予定)。搭載されるミサイルは日本と同じく、日米共同開発の「SM3ブロック2A」だ。米国はこの配備について、当時のオバマ大統領の言葉を引き、NATO諸国の防衛と共に「米本土を長距離弾道ミサイルの脅威から守る責務に基づくもの」と説明した。少なくとも、拡大NATO軍を守るために何らかの貢献をするのだろう。

 防衛相も認めているように、長距離巡航ミサイルは北朝鮮などの制空圏外からの敵基地攻撃を可能とする。陸上型イージスは、日本の国土・国民ではなく、基地機能を守るための文字通り盾(イージス)となる。想定されているのは先制攻撃で始まる戦争ではないか。

(社会新報2018年1月24日号・主張より)


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