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沖縄ヘリ事故 「当事者能力」なしに国民守れるか

 13日に普天間第二小に窓を落下させる事故を起こした米軍ヘリCH53Eが19日、飛行を再開した。事故からわずか6日後。日本政府が前日、「飛行を再開するための措置が取られた」と再開を容認したのを受けてのことだ。何度こういう光景を見させられたことか。

 米軍は「事故は人為ミス」と発表し、飛行停止が続いて訓練できないとかえって危険と開き直っている。この型のヘリは老朽化が指摘されて久しいにもかかわらず、人為的ミス論は、原因究明をサボるための口実となっているのは明らかだ。

 この事故には、人口密集地上空での軍用機の飛行という重大な問題がある。米側は今後、学校上空は「最大限可能な限り飛ばない」としているが、これを「飛ばない」と理解している人はいない。普天間基地の場周経路については、「学校、病院を含む人口稠密(ちゅうみつ)地域を避ける」との日米合意があり、04年沖国大ヘリ墜落事故を受けた07年の再検討でも、第二小上空を避ける形になっているという。しかし普天間の合意には、オスプレイの飛行や嘉手納基地の騒音規制に関するものなど他の同種合意と同じく、「できる限り」とのただし書きがあるため、米軍の運用上の必要性がある場合はその限りではないという抜け穴があり、米側は今回も「合意違反ではない」と主張している。

 誰の目にも明らかな合意違反に対し、日本側は、これを追認することを常としてきた。記憶に新しいのは、嘉手納の海軍旧駐機場問題だ。海軍機が新駐機場(整備費は日本側負担)に移転した後も旧駐機場使用を継続するのは、96年のSACO(日米沖縄特別行動委員会)合意違反だと嘉手納町などが反発したのに対し、米側は日米間の合意に沿ったものだと主張し、違反を否定。すると稲田防衛相(当時)は6月、米側の主張の当否に関する認識は曖昧にしたまま、継続使用を認めてしまったのだ。12月14日に外務省を抗議に訪れた翁長沖縄県知事が「日本政府の当事者能力が全く感じられない」と政府を批判したのは、問題の本質をずばり言い当てている。

 自公政権とは、「安保の効果的運用」という呪文に囚(とら)われ、米軍の意向を受け、あるいはそれを忖度(そんたく)し、権力を使ってその通りに行動することを天命と任じる集団だ。それで朝鮮有事への参戦を拒めるのか。それでいいのか。重い問いが私たちに突きつけられている。

(社会新報2017年12月27日号・主張より)


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