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森友土地疑惑 「資料ないので判断不能」で済まぬ

 「森友学園」への国有地売却価格の値引き問題で、会計検査院が11月22日、値引きの根拠となる国による地下埋設ごみ総量の推計は根拠が不十分だと指摘したことを受け、国会審議は紛糾した。財務省は同27日、昨年5月に近畿財務局が「(売り値)1億3000万円を下回る金額というのはない」と学園側に述べたとされる音声データを本物だと認めた上で、「当方から売却価格を提示したこともない」と答えた。これが価格交渉でなくて何なのか、全く意味不明の答弁だ。

 同省は続く同28日、同年3〜4月ごろとされる同局側の「3bより下にあるごみは(補償を)きっちりやる必要があるというストーリーをイメージしている」との発言も本物だと認めた。同省はこれも価格交渉とは関係ないとしたが、実は値引き交渉そのものだ。地下にごみがあることを国側の瑕疵(かし)とし、その瑕疵担保責任を免除する対価をごみ撤去費用相当額として価格から差し引くというのが、今回の国有地廉価譲渡の基本構造だからだ。

 醍醐聰東大名誉教授らでつくる「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」は同22日、美並義人近畿財務局長を背任の罪で東京地検に刑事告発した。今回の告発で注目されるのは、適正な対価で国有財産を譲渡しなかったことにより国に与えた損害額を値引き額そのものの8億1900万円としたことだ。なぜか。

 会計検査院は国会への報告で、国によるごみの量の推計と検査院の試算との差は3〜7割に上ったが、処分単価見積りに関する資料がないため、売却価格が適正かどうかは判断できないとした。これが、政府としてはあくまで適正価格と認識しているとの言い抜けを許す余地を生んでいる。

 しかし、そもそも地下ごみは本当にあるのか、仮に存在しているとしても、それが損害賠償を必要とする瑕疵に当たるのかという2つの問題がクリアされない限り、撤去費用の妥当性を問うことはできないというのが、美並局長告発状に込められた考え方だ。つまり、売買契約の目的である学校建設の支障となるごみがないことを知りながら、これが存在するとの架空の「ストーリー」の下で撤去費用を計上し売却を行なったのだとしたら、撤去費用算定の是非とは関係なく背任罪は成立する。工事の障害となるごみは存在するのか。政府の再調査拒否は、ここに核心があることを自ら認めているようなものだ。

(社会新報2017年12月6日号・主張より)


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