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核廃絶決議案 被爆国としての姿勢問われている

 日本が10月27日、国連総会第1委員会に提出した核兵器廃絶決議案は、144ヵ国の賛成で採択されたものの、賛成国は昨年より23ヵ国減った。棄権27ヵ国中、核兵器禁止条約採択をリードしたオーストリアやブラジルなど15ヵ国が昨年の賛成から棄権に回ったことは、本決議案をめぐる状況を象徴している。核禁条約に参加しない態度が批判的視線にさらされているのだ。

 日本の決議案の特徴は、核禁条約への言及がないことに加え、昨年の「核軍縮につながるような核兵器の完全な廃絶を達成するための核兵器国の明確な約束」の表現が、「核不拡散条約を完全に履行するための核兵器国の明確な約束」に変わったこと。「核兵器のあらゆる使用による壊滅的な人道的結末」から「あらゆる」が抜けたことも大きい。決議案を「まるで核保有国が出した決議のような印象」と評した田上富久長崎市長は、核は「いかなる状況でも使用してはならない」という姿勢に疑念を生じさせると的確に批判している。

 核兵器全面廃絶の「核兵器国の明確な約束」の表現は、核軍拡競争の停止、核軍縮の効果的措置、全面軍縮条約に関する締約国の約束を定めた核不拡散条約(NPT)6条に基づき、00年NPT再検討会議で合意された措置に由来する。日本決議案は、核全面廃絶の約束というこの合意内容の核心を巧みに薄めている。合意は、05年、10年の同会議で継承、再確認されたものの、15年同会議で最終文書が採択されなかったことで、現在危機にある。日本の姿勢は、この流れに棹(さお)差すものだ。

 10月28日の談話で決議案について「立場の異なる国々の橋渡し」を行なうものだと擁護した河野外相は、明らかに賛成国の減少を念頭に「自らの置かれた安全保障環境に応じて立場の違いが顕在化している」とも述べた。日本は北朝鮮の核の脅威にさらされているのだという弁明だ。その切実なはずの脅威認識が、選挙の勝因は「明らかに北朝鮮のおかげ」(麻生副総理)という程度のものであることはひとまず脇に置くとしても、その外相が同21日、北朝鮮と国交のある160以上の国々に対し「外交関係・経済関係を断つよう強く要求する」と断交を求めたことは、より深刻だ。

 世界中に宣戦布告すれすれの対応を要求することで、どうして「壊滅的な人道的結末」を回避することができるのか。戦争被爆国としての態度とは言えない。

(社会新報2017年11月08日号・主張より)


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