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安部政策破綻 羊頭狗肉の「教育無償化」で増税

 安倍首相が「国難」の一つと位置付けた少子・高齢化対策で、自民党は「生産性革命」と「人づくり革命」の2つの改革を断行すると公約した。後者は、首相が9月25日の会見で「全世代型社会保障」として押し出していたものだが、分かりにくいとの声が出て「人づくり革命」を前面に出すことになったようで、ますます分かりにくくなった。

 首相は当初、「教育無償化」を印象づけた。だがふたを開けてみると、無償化の対象は3〜5歳の幼稚園・保育園の費用のみで、0〜2歳児の無償化は低所得世帯限定。しかも、高等教育無償化の対象は「所得の低い家庭の子ども」であり、すでに給付型奨学金が導入されていることを考えれば、特に新味はない。実質はせいぜいが「負担軽減」だ。

 そして、財源は消費税率の10%への引き上げに伴う増収分を活用するとしているが、具体論は年末まで先延ばしした。同党内ではこれまで、幼児教育について「こども保険」が提起されたが、保険制度における負担と給付の関係が不明瞭になるとして、疑問視されていた。また、高等教育については「出世払い方式」、つまり、事実上全ての人が貸与型奨学金の債務を負うだけの方式が提起され、議論は混迷を深めていた。

 財源論の行き詰まりはすなわち、アベノミクス破綻の反映だ。「三本の矢」が金融緩和・財政出動・成長戦略のセットだったのに対し、「新三本の矢」は子育て支援や介護離職対策を打ち出し、給付型奨学金導入も決まるなど分配政策への目配りが顕著となり、オリジナル三本の矢の「鉄のトライアングル」のほころびが露呈した。さらに今度は「20年プライマリーバランス黒字化」目標の放棄。アベノミクスはなし崩し的に変質したと言うほかない。

 9月20日の日銀発表によれば、日銀の国債保有比率は初めて40%を超え、民間金融機関と保険・年金基金の保有比率を上回り、両者は逆転した。民間の国債離れで「出口なき金融緩和」のリスクの切迫が誰の目にも否定できなくなる一方、企業の内部留保(利益剰余金。金融、保険を除く)は406兆円を突破したという。この状況を座視し、内部留保課税にも踏み出せないまま、消費税収依存を拡大したら、結果的にさらなる消費増税と社会保障削減を招き、将来不安の増大と個人消費の低迷の悪循環は止まらない。耳ざわりがいいだけの政策は庶民へのつけ回しを隠しているのだ。

(社会新報2017年10月11日号・主張より)


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