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対話否定外交 事態悪化の責任は日本にないのか

 トランプ米大統領が9月19日の国連総会「ロケットマン」演説で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を「ならず者国家」「犯罪者集団」と罵倒し、「完全に破壊するほか選択肢はない」と脅すと、金正恩朝鮮労働党委員長は同21日の声明で「史上最高の超強硬対応措置を断行」と応えた。朝鮮半島や日本など周辺国の人々の命をもてあそぶ威嚇合戦に怒りを禁じ得ない。

 ではこの間、安倍首相は何をやっていたのかといえば、同20日の演説で米朝枠組み合意(94年)や6ヵ国協議(03年〜)に言及した上で「対話による問題解決の試みは一再ならず無に帰した」と断言した。だが、この認識は実に主観的だ。

 93年の北朝鮮NPT(核不拡散条約)脱退表明に端を発した核危機は、核開発に適さない軽水炉導入を米国が支援する枠組み合意で収束した。この合意には、米国は核による威嚇や核使用を行なわないとの公式保証を提供し、北朝鮮は91年南北非核化共同宣言を履行するとの、05年の6ヵ国協議合意で再現された事項がすでに盛り込まれていた。しかし、軽水炉計画は21世紀に入り停滞、北朝鮮の「再処理終了宣言」を受けた03年に停止が決まった。

 この流れにおいては、05年に「核保有宣言」をするなどの北朝鮮の一連の瀬戸際外交の問題性を指摘せざるを得ないものの、決定的だったのは、01年発足のブッシュ政権が02年、北朝鮮、イラク、イランを「悪の枢軸」とする演説を行ない、先制攻撃も否定しなかったことだ。実際、03年にはイラク侵略が強行された。

 こうした中で日本は、02年「日朝平壌宣言」を唯一の例外として、緊張緩和に終始後ろ向きの態度をとり、米国タカ派に追従してきた。その結果が、首相も演説で認めたように「94年の北朝鮮には核兵器はなく、弾道ミサイルの技術も成熟にほど遠かった」状況からの、事態の飛躍的な悪化である。繰り返してはならぬ「同じ過ち」とは、圧力政策の方ではないか。

 反響が大きく10日後に再放送されたNHKスペシャル「沖縄と核」の内容は衝撃的だった。59年に米軍核搭載ミサイルの誤射が起き、那覇周辺は壊滅の危機だったというのだ。米国は有事の際の(返還後)沖縄への核再持ち込み密約を事実上認めてきた。自民党の石破元防衛相は9月6日、非核三原則の「持ち込ませず」見直し発言をした。このような日米権力者に、非核化を語る資格があるのか。

(社会新報2017年10月4日号・主張より)


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