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人種差別擁護 大統領は居直り続け首相は無反応

 8月12日に米南部シャーロッツビルで白人至上主義者と反対派が衝突し、反対派に死者が出た事件に対するトランプ大統領の反応ぶりへの批判が止まらない。

 大統領は同日、「各方面による憎悪や偏見、暴力を…非難する」と述べたが、白人至上主義団体を批判しなかった。続く15日、大統領は「両者に非がある」と明言。極右集団「オルト・ライト」との関係について聞かれると、「突撃してきた反対派の『オルト・レフト』はどうだ?」と反対派に新語でレッテル貼りし、両者を同列に並べた。

 こうした大統領の姿勢に対し、メイ英首相は同日、「ファシズムの支持者たちと、それに反対する人たちを同列視はできない」と批判。国連人種差別撤廃委は23日、ヘイトスピーチ・クライムを無条件に拒絶・非難するよう米国政府に求めた。コーン米国家経済会議議長も24日、「平等や自由に対して立ち上がっている市民と白人至上主義者は同一視できない」と述べた。

 しかし、大統領はどこ吹く風の体。問題視された「各方面の」の部分を除いて、自分は「非難する」とちゃんと語ったのだと開き直るのに加え、「ジョージ・ワシントンは奴隷所有者だった。ワシントンの銅像を撤去するのか?」「(南軍の像撤去で)われわれの偉大な国の歴史と文化が引き裂かれるのを見ると悲しく思う」などと述べている。

 それにしてもこの言いぶり、誰かに似ていないか。安倍首相とその周辺の人々である。両者の親和性を特徴づけているのは、日本では敗戦と平和憲法制定以来、米国では少なくとも公民権法制定以降、公人が否定することはないものとされてきた普遍的な理念、特に人権という価値観に対するコミットを避けるか、冷笑的な態度をとること、さらに、実は理念を否定したいという本音を隠さないことだ。

 昨年7月に障害者施設で起きた入所者大量殺傷事件に対し、各国首脳らからの反応が相次ぐ中、事実認識と評価を避ける首相の姿勢は、全世界に奇異な印象を刻印した。麻生副総理は8月30日、ヒトラーの「動機は正しい」と言い放った。小池都知事は、関東大震災直後に起きた朝鮮人虐殺の加害責任を消去した。

 「もし、あなたが(現状に)激怒していないなら、注意を払っていないから」

 白人至上主義者に殺されたヘザー・ヘイヤーさんがフェイスブックに残した最後の言葉だという。私たちは何に怒るべきなのか。

(社会新報2017年9月6日号・主張より)


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