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人づくり革命 誰のための政策なのか疑問だらけ

 都議選惨敗で改憲戦略が動揺をきたす中、安倍首相は「アベノミクスの夢よもう一度」、すなわち「改憲隠し」で乗り切ろうとの誘惑に駆られているようだ。

 しかし、肝心のアベノミクスの現状はどうか。当初掲げた数値目標は達成できぬまま、やれ「女性活躍」「地方創生」「1億総活躍」、そして今度は「人づくり革命」だと、目先をコロコロ変えていくやり方には、自民党内からも苦言が呈されるようになっている。

 人づくり革命は通常国会閉会にあたっての首相会見で突如国民向けに示されたものだが、その内容は判然とせず、「働き方改革」や「幼児教育無償化」などの他の施策とのつながりが匂わされるにとどまった。

 実は首相は7月18日の経済財政諮問会議で、人材投資やサービス業の生産性向上施策などを18年度予算概算要求での4兆円規模の特別枠として、その冠として人づくり革命をかぶせる考えを表明し、「潜在成長力の引き上げが課題だ」と述べている。6月21日に開かれた「生産性向上国民運動推進協議会」でも首相は「生産性向上のカギはまさに人づくりでもあろう。私は、次なる安倍政権の柱を『人づくり革命』とすることにした」とブチ上げ、本音と狙いを明確にした。人づくり革命とは生産性向上運動だったのである。

 首相が生産性向上を掲げるのは、それしか残っていないからだ。20年度基礎的財政収支黒字化目標は、事実上放棄されている。首相としては「持続的成長」の旗を振るほか、つじつま合わせの方法はなくなった。

 アベノミクスの目玉である「異次元緩和」で日銀の国債保有残高は年内にも500兆円超えがささやかれている。アベノミクス本来の目標である物価上昇に伴い金利も上昇に転じれば、保有国債の価格は劇的に下落すると同時に、利払い費が激増する。政府の試算でも23年度の国債費は60兆円に迫る。ハンパーインフレになれば債務負担は軽くなるという捨て鉢な考えを抱くのでないとすると、日銀は国債買い入れをやめられない。アベノミクスは出口戦略を封じてしまうのだ。

 残業時間は減少傾向にあるが、生産性が向上したというわけではない。家計消費のマイナスは15ヵ月連続で続く。非正規労働者の割合も高止まり。金融偏重のアベノミクス体系はそのままにして、もっと効率を上げよと尻をたたくだけでは、社会の持続性の方こそが問われる事態となるだろう。

(社会新報2017年7月26日号・主張より)


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