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隠ぺいと監視 情報は誰のため、何のためのものか

 安倍首相による「改憲情勢」下で共謀罪法制定がもくろまれるという、この時代の空気。政府情報をめぐるこの間の動きはこれを象徴しているように見える。

 森友学園への土地払い下げ交渉記録のデータ消去が始まった。この問題は契約締結をもって「事案終了」とは言えない、仮に保存期間1年未満を前提とするにしても、起算日を考えるとまだ廃棄できないはず、などの指摘は無視された。市民団体の証拠保全申し立てを東京地裁は却下した。

 そして「加計文書」。「組織的に用いられたものではないので行政文書ではない」「経過記録は公開対象ではない」「出所や経緯が不明の文書は調査対象ではない」などの対応がとられている。いずれも、役所の文書管理規則を盾にするなどして保存・公開の対象範囲を狭く限定し、情報公開法や公文書管理法、さらには内部告発者保護法の趣旨をねじ曲げるものだ。

 加えて、加計文書は本物だと認めた前川前文科次官への仕打ちだ。前次官の証言が報道されるタイミングに合わせてスキャンダル情報が一部メディアにリークされ、信用失墜が図られた。韓国・釜山の日本総領事館前の「慰安婦」少女像をめぐる政府の対応を私的な会食の場で批判した総領事が交代させられるという出来事も起きた。一体誰が発言を「密告」したのか。

 監視と言えば、米NSAによる外国首脳を含む広範な盗聴監視が暴露され、オバマ前大統領が謝罪する事態となったことは記憶に新しい。その後も米欧間の摩擦や民間企業の協力問題が露呈し、問題は収束するどころか、米政府内の権力闘争が情報をめぐる暗闘として展開される状況となっている。しかし、日本政府は非公式にも米国に抗議することなく、菅官房長官の決めぜりふではないが「承知してない」「問題はない」という態度を貫いてきた。日本政府が情報収集に協力してきたとの報道も出た。

 政府が情報を独占・隠ぺいし、操作する一方、市民は監視される。この実に巨大な非対称性は何なのか。共謀罪が権力盗聴拡大のテコとなることを政府は事実上認めている。そして、首相は「印象操作」を声高になじることで、自分の手口を公然と明かしている。

 事態は容易ならざるところにまで来ている。少なくとも共謀罪導入や盗聴拡大をやめさせ、公文書管理法などの拡充的見直しをしなければならない。民主主義の根幹に関わる問題だ。

(社会新報2017年6月14日号・主張より)


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