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米艦防護強行 参戦国化を実現のものにする暴挙

 14日の北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の弾道ミサイル発射に対し、日本政府・与党内からはミサイル防衛(MD)強化を叫ぶ声とともに、「迎撃は困難」だとして敵基地攻撃能力の保持を求める主張が出ている。これまでMDに投じた巨費は何だったのかという話だ。米朝の軍事的つばぜりあいは明らかに危険ならせん階段を上昇している。

 忘れてはならないのは、このミサイル発射が、「米国は先制攻撃のさまざまな選択肢がある」(ハリス米太平洋軍司令官)との号令一下、米原子力空母カールビンソンが朝鮮半島近海に展開する中で強行されたことだ。この米空母と連動して動く補給艦に対し、「ヘリ空母」と言われる海上自衛隊護衛艦いずもは1日から3日、戦争法に基づく初の米艦防護(米軍武器等防護)を実施したとされる。この米艦防護は米空母と韓国海軍との合同訓練と並行して行なわれており、空母はその前に海自、空自と合同訓練をしている。さらに、いずもは防護任務と合同訓練を併せて行なった後、12日には海外初寄港としてシンガポールに寄港した。やりたい放題ではないか。

 昨年12月に決定された武器等防護運用指針では、防護実施は防衛相が「主体的に判断する」とされ、米軍等から初めて警護要請があった場合や第三国での実施要請があった場合はNSC(国家安全保障会議)で「審議する」とされるものの、判断の報告でもよいとなっている。その実施状況については「適切に情報公開を図る」とされたが、公開は「特異な事象が発生した場合」および防護実施を含む重要影響事態対処基本計画の閣議決定後の公表が例示されたにとどまり、政府は「米軍等の能力を明らかにし活動に影響を及ぼすおそれがある」(安倍首相)として、基本的に公表しない方針を明確にした。

 先制攻撃をちらつかせる米軍の防護は、どう見ても憲法の禁じる武力による威嚇の一環である。さらに、武器等防護のための武器使用は「現に戦闘が行なわれている現場」では行なわないので「他国の武力行使との一体化」ではないとされるが、同時に共同訓練などでの米軍等への「武力攻撃に至らない侵害」に対して、すなわち平時から武器を使用しても、違憲の武力行使ではないということになっている。つまり、本当は戦闘行為・武力行使への発展を折り込んだ活動なのだ。米艦防護は戦争への道を具体的に掃き清めるものだ。

(社会新報2017年5月24日号・主張より)


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