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共謀罪審議 政府の「限定」の主張に根拠はない

 共謀罪法案で適用対象を「組織的犯罪集団」に限定したので適法団体は処罰されないとの政府の主張が日に日に崩れている。「そもそも犯罪を犯すことを目的としている集団でなければならない」との1月の答弁について、「(犯罪集団に)一変したものである以上はそれは対象となる」との2月答弁との矛盾を突かれた安倍首相は「これ(そもそも)は基本的にという意味もあることもぜひ知っておいていただきたい」と言い放った(4月19日)。もちろん、そんな意味はない。

 金田法相は2月、「一変」の判断に関して「犯罪行為の疑いのない段階からテロ等準備罪に関する捜査が行なわれることはあり得ない」と述べたが、これには意味がない。共謀罪の適用が問われるのは、団体が組織として犯罪実行を計画(共謀)したときであり、これは組織的犯罪集団かどうかという問題と同じである。つまり、共謀の認定は組織的犯罪集団の認定と等しい。

  「一般的に右翼は当たるか、あるいは左翼は当たるのか」について「一概にお答えすることは困難」だとした政府参考人答弁(4月21日)は、ある意味正直だ。組織的犯罪集団の定義には、例えば暴対法などにあるような常習性や反復継続などの要件がない。例示は決して限定にはならないのだ。

 政府側は同日、「準備行為が行なわれていない段階でも任意捜査を行なうことが許される」と認めた。政府側はこれまで、準備行為が行なわれておらずテロ等準備罪が成立していない段階では、強制捜査はできないと答弁しており、矛盾はないと言うかもしれない。

 しかし、法文の「…団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行なわれるものの遂行を2人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかにより…準備行為が行なわれたときは、…刑に処する」との記述を、準備行為を犯罪構成要件としたものとして読むことは困難だ。これが処罰条件だとすれば、それがなくても犯罪構成要件は満たされ、合意の嫌疑をかければ強制捜査ができる。政府側は、これがどちらなのかという問題について曖昧であり、法学上の議論は法の運用の議論にはなじまないなどとしてきた。

 また、構成要件なら強制捜査に歯止めがかかるとも言えない。令状発布に際して裁判所はチェック機能を果たしていないし、立件・起訴できなくても、対象への打撃と情報収集という目的は達成されるからだ。

(社会新報2017年5月10日号・主張より)


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