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シリア攻撃 米朝戦争へ自動参戦する危機切迫

 米国が6日、シリアをミサイル攻撃して以降、朝鮮半島の軍事的緊張は「朝鮮戦争以来の危機」といわれる高まりを見せている。憂慮されるのは、安倍政権の前のめりの姿勢だ。半島近海に向かう米原子力空母と海上自衛隊との共同訓練実施も取り沙汰されている。

 安倍首相は、米中首脳会談と米軍のシリア攻撃を前にした6日、トランプ大統領と電話会談した後の会見で「大統領からは全ての選択肢がテーブルの上にあるとの力強い発言があった」と述べた。大統領の言う「全ての選択肢」が、北朝鮮への単独先制攻撃を排除しないという意味で語られていることを大前提として、首相は「力強い」と賛意を示したのだ。シリア攻撃後の9日にも再び電話会談があった。首相は「化学兵器の拡散と使用を抑止するために責任を果たそうとするアメリカの決意を支持する」と、持って回った言い方ながら軍事力行使支持を表明するだけでなく、「トランプ大統領が世界の平和と安全のために強いコミットメントをしていることを高く評価した」として、米国に白紙委任状を与えていることを自認してみせた。

 14年の前オバマ政権によるIS(イスラム国)を狙った空爆に対する首相の態度は、今より曖昧だった。しかし首相はその後、戦争法案が成立すればIS攻撃の後方支援は可能となるのかとの質問には一切答えず、政策選択肢として考えていないので検討していないとのごまかし答弁を繰り返したのは記憶に新しい。つまり、やろうと思えばできるのであって、政策判断の問題でしかないというのだ。

 ここでは、北朝鮮の核・ミサイルの「瀬戸際外交」が「レッドラインを越えた」(だから戦争は正当化される)と判断するのは、あくまでトランプ大統領であることがポイントとなる。

 もし米朝衝突が起これば、重要影響事態法(旧周辺事態法)に基づく自衛隊の対米軍後方支援、あるいは集団的自衛権行使による直接参戦がリアルな問題となる。また、自民党安保調査会は3月末、「敵基地攻撃能力」保有の検討を求める提言を首相に提出した。集団的自衛権行使の下では先制攻撃は、もはや違憲ではないのだ。そればかりではない。米軍に対する武力攻撃が起きたとは認定されない状況であっても、例えば合同演習中の米朝衝突を受け、自衛隊は米軍の武器防護のための武器使用ができる。

 戦争法は、「自動参戦法制」として機能するのだ。

(社会新報2017年4月19日号・主張より)


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