HOME広報社会新報・主張・一覧>国定教科書化 教育への国家介入と反動化連動

広報

社会新報・主張

社会新報

国定教科書化 教育への国家介入と反動化連動

 文科省は3月24日、18年度から使う小学校道徳と高校各教科の教科書の検定結果を発表した。「教科化」されて初の検定となった道徳教科書には、15年告示の学習指導要領が定める内容項目を盛り込むよう求められたが、このうちの「伝統と文化を尊重」「わが国と郷土を愛する態度」は、第1次安倍政権による教育基本法改定の目玉だった。

 高校の地歴・公民では、政府が集団的自衛権の限定的行使の(これなら合憲の)要件だとする武力行使「新3要件」に触れることが求められたり、韓国与野党の大統領選候補がそろって見直しを主張する15年末の日韓「慰安婦」合意に言及するよう求める検定意見が付いた。他方、沖縄戦末期での「集団自決」での「軍の強制」削除の06年度検定意見は、今日まで撤回されていない。14年の検定基準改定で「政府見解に基づいた記述」が基準とされたことを画期として、国定教科書化は着実に進んでいる。

 18年度から順次実施される次期学習指導要領でも領土問題が強調され、竹島、北方領土、尖閣諸島は「わが国固有の領土であること」を明記するとされている。会見で朝鮮人徴用工像の設置問題を聞かれた菅官房長官が「コメントする気にもならない」と言ったように、自国政府の立場が全てなのだ。政府は学習指導要領について「法的拘束力がある」との見解だ。

 森友問題で人々に強い印象を残した、あの園児たちの「教育勅語」朗唱。しかし松野文科相は3月14日、憲法や教基法に反しないように配慮すれば「教材として用いることは問題としない」との見解を示した。同8日の衆院文科委では、社民党の吉川政審会長に対し、「公権力が教室内における教育内容について直接意見することには慎重に対応しなければならない」と、現場の教職員が聞いたらビックリするような答弁をした。文科相は、所轄庁(この場合は都道府県)が適切に判断すればよいとする。塚本幼稚園は大阪市にある。

 大阪市では15年、中学歴史・公民教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版が採択された。8つの採択地区の一本化が後押しした。それだけでなく、展示会場で投函されたアンケートに市外からの回答が不自然に多いことに端を発し、「日本会議」の構成団体の会員が会長を務める企業で、社員の組織動員が行なわれたことが発覚した。森本問題の土壌はこうしてつくられていたのだ。

(社会新報2017年4月5日号・主張より)


HOME広報社会新報・主張・一覧>国定教科書化 教育への国家介入と反動化連動