HOME広報社会新報・主張・一覧>PKO日報隠し 背景には文民統制を嫌う派兵体制

広報

社会新報・主張

社会新報

PKO日報隠し 背景には文民統制を嫌う派兵体制

 「廃棄した」としていったんは不開示決定された南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣の陸上自衛隊「日報」が、統合幕僚監部(統幕)内だけでなく、陸自内にも保存されていたことが判明した問題で、特別防衛監察が17日に始まった。陸自内でのデータ発見後、統幕職員が保管の事実の非公表とデータ削除を指示したと報道されている。

 経過はやや複雑だ。昨年末統幕内でデータが見つかったことは、稲田防衛相には1ヵ月間報告されなかった。この間に安倍首相は破棄を前提として、文書管理は適切と答弁している。しかも、陸自内での保管が判明したのも、まさに統幕のデータ発覚から防衛相報告までの間だったという疑いが濃い。つまり、たまたま統幕に残っていたというにとどまらず、陸自による廃棄は初めからうそだったことを隠すという腹合わせが行なわれた可能性がある。

 これを指示した者が背広組(内局)か制服組(自衛官)かは、あえて言えば決定的問題ではない。内局が自衛官を監督する「文官統制」の仕組みは15年に廃止され、政治への関与を含め制服組優位の構造が確立したからだ。この間の文民統制の形がい化は著しく、むしろ制服組が文民トップ級の防衛相を統制する仕組みが作られつつあると言っても過言ではないだろう。

 文官統制見直しと併せ、陸海空3自衛隊統合運用機能の強化と称して、部隊運用に関する業務は統幕に一元化され、3自衛隊運用に関する大臣補佐権は統合幕僚長に集中することとなった。ここで気になるのは、17年度に「陸上総隊」を練馬駐屯地に創設するとの防衛省の方針だ。5方面隊は残るものの、総隊司令官が新設され、今までは防衛相から方面隊に行っていた命令が、まず総隊司令官に出され、そこから方面隊に行くことになる。方面隊に属さない(現在の)中央即応集団の指揮権は総隊司令官に直属することになる。

 従来は陸幕長に命令権がなかったことを考えると、制度いじりに伴う矛盾やあつれきは免れないにしても、総隊司令官の権限の強さは明らかであり、「旧軍の参謀総長に匹敵する」との指摘もある。ではなぜ強力な権限が必要なのかといえば、海外派兵に即応するためであることは間違いない。

 日報隠ぺいが、まさに海外活動の最前線での「戦闘」を隠すために行なわれたことには必然性がある。制約なき派兵の願望は武官暴走につながりかねないのだ。

(社会新報2017年3月29日号・主張より)


HOME広報社会新報・主張・一覧>PKO日報隠し 背景には文民統制を嫌う派兵体制