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新共謀罪法案 「話し合っただけで罪に」変わらず

 まだ閣議決定前だが、共謀罪新設法案の内容が判明した。共謀罪を「テロ等準備罪」に代えるとされていたが、法案にはテロの定義どころか言葉もない。安倍首相は野党の国会追及に対し「印象操作だ」と繰り返し反発するが、これこそ印象操作でなくて何なのか。

 新法案は2人以上による犯罪の共同実行の合意を犯罪とする、すなわち「話し合っただけで罪になる」という共謀罪の本質を何ら変えるものではない。共謀は「計画」に言い換えられたが、具体性や現実性が加味されたわけではない。「目くばせのみでは合意は成立しない」との金田法相答弁は、気休めにもならない。

 対象犯罪は277に減るという。法定刑4年以上の犯罪について共謀罪か参加罪を設けなければ条約を批准できないと言ってきたのだから、つまりは、共謀罪を作らなくても批准は可能ということにならないか。

 処罰対象(犯罪主体)を「組織的犯罪集団」に限定したというが、「犯罪を行なう団体に一変したと認められる場合は処罰対象になる」とはどういうことか。犯罪の共謀が行なわれたと当局が認めれば、団体は犯罪を共同目的とする組織的犯罪集団になるのであり、法相が1回の意思決定だけで目的が変わるわけではないと言っても意味はない。

 犯罪を共同で計画した者は「その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金または物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行なわれたときは」処罰するとして、準備行為が処罰条件となった。しかし、準備行為それ自体は結果発生の危険性を帯びた行為とされてはおらず、「その他」という拡大領域を含め、いわば日常行為であってもよいのだ。

 犯罪の構成要件はあくまで共謀(計画)だ。この要件を満たすとの嫌疑がかかれば、強制捜査は可能と考えられるのが通常だ。法相は「準備行為がまだなされていない段階では逮捕、勾留はできない」と述べたが、法案からそう解釈するのは難しいのに加え、家宅捜索を行なうだけで、対象に打撃を与え、情報を集めるという当局の目的は十分達成される。「犯罪行為の疑いのない段階から捜査が行なわれることはあり得ない」との法相の言明は、これまた何も言っていないのだ。

 また法案は犯罪実行の共謀に加え、組織的犯罪集団に「不正権益」を得させる行為の共謀も処罰するとし、処罰対象を広げている。

(社会新報2017年3月8日号・主張より)


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