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南スーダン決議 武器禁輸を否定して「平和維持」か

 国連安保理で昨年12月23日、米国主導で提出された、南スーダン政府と反政府勢力双方に対し1年間の武器禁輸を行なうことなどを柱とする決議案が否決された。日本は中ロなどと共に棄権、決議案は廃案となった。

 日本の棄権理由は、南スーダン政府が反対しているため、決議に賛成すれば両国関係が悪化し、同国PKO(国連平和維持活動)に参加している自衛隊部隊への危険性が増すというもの。採決は、「駆け付け警護」などの新任務実施が可能となった第11次隊が全員現地入りした直後のこと。もし同国政府と反政府勢力間で武力紛争が再燃し、両者が「国または国に準ずる組織」として実際の紛争当事者になれば、当事者間の停戦合意やPKOの受け入れ同意を柱とする「PKO参加5原則」などどこかに吹き飛んでしまう。日本は、自らの武力行使へのハードルを低くする政策をとりながら、「武力行使はしない」との建前を守るという自己都合を優先して、「武器禁輸に反対し緊張を高める平和維持活動」という矛盾した態度をとったことになる。

 米国の方針の背景には南スーダン政府への距離感と自らの思惑があると思われるが、それはそれとして、「隊員の安全を守る方法が武器禁輸を支持しないことというロジックは非常に疑わしい」という米パワー国連大使の日本批判は的を射ている。これに対し岡村国連次席大使が「悪者を懲罰すれば正義が訪れるというカウボーイ的発想」と反論したのは、まるで隊員は「悪者の人質」になっていると言っているようでもあり、全くいただけない。

 この問題では食い違った日米だが、日本の対米軍支援は飛躍的に強化されようとしている。改定日米ACSA(物品役務相互提供協定)の今国会承認問題だ。戦争法の施行を受け、支援ケースは平時(共同訓練)から重要影響事態(周辺事態を拡大)、「非国連統括型」や多国籍軍型の海外活動、そして存立危機事態(集団的自衛権行使)に至るまであらゆる場面に広がるとともに、その実施場所は「現に戦闘行為が行なわれている現場」以外ならどこでも可能となり、その内容も、従来できないとされていた弾薬の提供や戦闘発進準備中の戦闘機への給油が全面解禁された。英仏豪などとも同様の協定を結ぶという。

 しかも、自衛隊の中古兵器の無償譲渡を可能とする法案も準備されている。世界中に武器・弾薬をばらまくのが積極的平和主義か。

(社会新報2017年2月1日号・主張より)


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