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もんじゅ廃炉 道理も何もない「高速炉」開発続行

 高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉が確定的となる中、10月7日に慌ただしくスタートした政府の「高速炉開発会議」は11月30日、原型炉もんじゅの次の段階である「実証炉」を国内に建設するとの方針を示した。

 これは一体何なのか。核燃料サイクルとは本来、使用済み核燃料を再処理して抽出したプルトニウムを燃料にして高速増殖炉で発電を行ない、消費した以上のプルトニウムをつくり出すことを指すのは言うまでもない。増殖しない「高速炉」で、あるいは普通の原発でウランと混ぜてプルトニウムを燃やし(プルサーマル)、目的を余剰プルトニウムの消費に変更することは、もともとの核燃料サイクルの趣旨からすれば本末転倒であり、あからさまなごまかしだ(しかもプルサーマルには経済的合理性がない)。

 そもそも、原型炉が失敗したのに、その段階を飛ばして実証炉に行くという発想は常識的には理解できない。フランスの同じく実証炉の「ASTRID」開発に協力すればデータが得られ、効率的に計画が進むなどと言っているようだが、仏政府は建設の是非自体をまだ決めていない。一方で、仏側は開発費約5700億円の半分は日本側の負担が見込めると皮算用をたくましくしているという。日本側はどういう検討をしているのか明らかにすべきだ。

 なぜこんなことになるのか。高速炉会議のあり方そのものに問題があると言うほかない。何とメンバーは世耕経産相と松野文科相、それに(もんじゅの運営主体である)原子力研究開発機構の理事長、電事連会長、(原発メーカーの)三菱重工会長。まさに「もんじゅ」の利害関係者、「ムラ」のボスそのもののメンバーだけが密室で決めたのが、核燃サイクル計画堅持・継続の方針にほかならない。

 『東京新聞』が12月7日付の社説で掲げた「サイクルは切れていた」の見出しは、実に言い得て妙であり、流行の兆しさえ感じる。そのとおり、「夢の原子炉」が文字どおり夢に終わったことを率直に認め、高速炉開発計画を撤回し、青森六ヶ所再処理工場を当然にも含む核燃料サイクル計画全体を放棄、断念すべきなのだ。

 自分の責任が問われなくなるころまで実施時期を先延ばししつつ、もはや誰も本気で実現を信じていない目標はより高々と掲げ、引き換えに現状を維持する。官僚主義の「失敗の本質」とは、戦争の反省についてよく聞く言葉だが、過去にのみ関わることではない。

(社会新報2016年12月21日号・主張より)


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