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被爆国の立場 非核の願いに背を向ける愚行連発

 この間、核問題に対する日本の姿勢が問われる事態が相次いだ。来日したインドのモディ首相と安倍首相は11日、日本からインドへの原発輸出を可能とする日印原子力協定に署名した。そして、これに先立つ10月27日、国連総会第1委員会で採択された核兵器禁止条約の交渉を来年3月から開始するとの決議に、日本は何と反対票を投じたのだ。

 インドは言うまでもなくNPT(核不拡散条約)未加盟の核保有国。CTBT(包括的核実験禁止条約)にも署名せず、核の先制不使用も否定している。しかし、核実験再開の際の対印協力停止は協定本文ではなく関連文書に記載されるにとどまった。しかも、ついに使用済み核燃料の再処理を容認した。平和利用に限定するとされているが、インドはIAEA(国際原子力機関)の追加議定書を批准した際、査察対象を民生用施設に限定しており、軍事転用の有無の検証は困難だ。これらの問題点は米印協定締結が取り沙汰されていたころから指摘されており、昨年の日印首脳会談でも日印協定締結は詳細が明らかにされてからのこととしていたのに、不明な点ばかりの正式署名となった。

 また、昨年のNPT再検討会議では、日本は国連総会が核兵器禁止条約の交渉会議を開くことを勧告する報告書に棄権の態度をとったのに、今回は反対したことは特筆に値する。核兵器国と非核兵器国との懸け橋の役割を果たすと言っていたのだが、実際にやっているのは核兵器国の立場に立った行動と言うほかない。

 米国は決議に賛成しそうな国の切り崩し工作を展開する中で、核兵器が法的に禁止されれば米国の「核の傘」に依存している同盟国は国際法に違反することになると主張したという。皮肉なことだが正しい指摘ではないか。核の使用と核による威嚇が国際法違反との判断は確立していないとしてきた日本の立場は、確実に追い詰められつつある。

 一連の日本政府の行動は、唯一の戦争被爆国日本に対する信頼を確実に減じ、核廃絶の訴えの説得力を失わせるものにほかならない。「成長戦略」の一環として原発ビジネスを推進する代わりにNPT体制に大穴を開け、核廃絶を目指す世界の大勢にも背を向ける。核兵器と原発という「核」への依存は、矛盾を深めながら、世界に向けた日本の唯一無比のアイデンティティを掘り崩しているのだ。これで「日本を取り戻す」とは一体何のことなのか。

(社会新報2016年11月23日号・主張より)


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