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駆け付け警護 実戦にらんで武器使用権限を拡大

 安倍内閣は10月25日、陸上自衛隊の南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣期限の5ヵ月延長を閣議決定した。前日24日には新たな任務である他国軍などの「駆け付け警護」訓練を公開。23日の自衛隊観閲式訓示で安倍首相は新任務に言及し、新任務付与の条件整備に躍起になっている。

 その訓練の公開対象が武器を使わないものにとどまったところに、政府の狙いが露骨に表れている。PKO参加の歴史は武器使用の権限と対象拡大の歴史だからだ。PKO法制定時、武器使用は正当防衛・緊急避難(自己保存)のための自然権的権利行使と位置付けられ、だから違憲の武力行使には当たらないとされた。しかし、その後の累次の法改正で、武器は上官の命令により組織的に使用するものとされ、防護対象に「自己の管理下に入った者」が加わり、武器防護のための武器使用も可能となった。

 戦争法制定でできるようになったPKOの駆け付け警護と治安維持業務、また在外邦人保護の武器使用権限は「自己保存型」を超える「任務遂行型」だ。さらにPKOの「宿営地共同防護」での使用は「自己保存型の一類型」とされるものの、他国部隊と「相互に連携して防護し合い共通の危険に対処することが不可欠」とされ、他国軍防護が当然視されている。武器使用基準は自己保存のための個人の自然権的権利からはるかに遠ざかった。わずかに危害射撃要件としての正当防衛・緊急避難という文言が残るが、先制使用への歯止めは失われている。かつて駆け付け警護解禁に向けて元イラク派遣隊長の自民党参院議員は「あえて巻き込まれる」と語ったが、もはやその必要さえなく危害射撃への道が開かれている。

 いわゆる米軍等の武器防護のための武器使用についても、明確に任務遂行型と位置付けられているわけではないが、これを自己保存型と説明することはそもそも困難だ。だが政府は、共同訓練は入るが「現に戦闘行為が行なわれている現場」で行なわれるものは除くので、武力行使ではないと強弁している。南スーダンで再発した武力衝突について稲田防衛相が「法的な意味での戦闘行為ではなく衝突」と答弁したことが想起されよう。戦闘行為をその一環とする「国際的な武力紛争」の主体である「国または国に準ずる組織」以外への武器使用は武力行使ではないというおなじみの理屈が、いよいよ現実を正当化する時代が来ようとしている。

(社会新報2016年11月2日号・主張より)


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