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新潟県知事選 原発のリスク無視もう通用しない

 新潟県知事選で社民、共産、自由各党などが推薦する無所属新人の米山隆一候補が勝利したことの波紋が広がっている。柏崎刈羽原発の再稼働について「福島第1原発事故の原因や健康・生活への影響、安全な避難計画の検証が終わらない限り始められない」とする米山新知事の言葉の射程は、それだけ大きいのだ。

 東電によるメルトダウン隠ぺいが暴露されるきっかけをつくった県の有識者委員会は、07年の中越沖地震による柏崎原発全基停止を受けて設けられた。このとき同原発は、それまでの想定ではおよそあり得ないはずの揺れに見舞われ、東日本大震災を待たずに新耐震指針作りと全原発の想定地震動引き上げにつながった。福島原発事故が起きたことで、地震想定はさらに引き上げを迫られるとともに、新規制基準策定と30`圏内の避難計画作りの問題が提起されることとなった。

 しかし、7基の炉が集中する世界最大の原発プラントの事故想定とは、いかなるものか。新規制基準で設置が義務づけられているフィルターベント(排気)装置は、1基当たり100テラ(兆)ベクレルまでの放出を容認している。また、県内の全登録バスをかき集めても30`圏内の全人口47万人の1割しか避難させることができず、残りは自家用車で逃げる想定だという。さらに、東電が考える過酷事故シナリオでは、「炉心損傷まで24分」。そもそも稼働自体がとんでもない危険性をはらんでいる、ゆえに避けるべきだというのが、常識的な結論だろう。

 東電は福島の汚染水対策より柏崎の再稼働準備を優先してきた。年2000億円の営業利益増が見込めるからだ。原子力損害賠償支援機構を通じて他の電力会社と政府から支援を受けている東電の昨年度の営業利益は3400億円超に上る。だが、それでも廃炉と賠償で7兆円足りなくなるとして、原発を持たない「新電力」の利用者を含め国民に追加負担を求める案が検討されている。電力会社の賠償責任に上限を設ける「有限責任」案も語られている。原発とは「不良債権」なのだという冷厳な事実から目をそむけ、目先の自転車操業のために原発を再稼働し、その命と健康に関わるリスクも経済的負担も利用者国民に転嫁すればいいというやり方が、いつまでも続くわけがないではないか。鹿児島に続く新潟の知事選結果は、その問いに真剣に向き合う機会を提供していると捉えるべきではないか。

(社会新報2016年10月26日号・主張より)


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