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「共謀罪」復活 拡大解釈される余地消えていない

 菅官房長官は8月26日の会見で、過去3回廃案となった共謀罪創設法案の名前を変えた再提出を検討していることを認めた。20年東京五輪でのテロ対策を前面に押し出し、罪名を「テロ等組織犯罪準備罪」に変え、共謀を「2人以上で計画」に言い換えるとされる。

 新政府案をどう見るべきか。このことを検討するには、06〜07年に与党が提出ないしは検討した修正案と比べてみるのが早道だ。600以上という対象犯罪の数は、もともとの政府案と変わらず、07年に検討された約140への絞り込み案からむしろ後退している。

 また、06年に最後に行なわれた国会審議の対象となった与党修正案は、原案が処罰対象としていた「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行なわれるものの遂行を共謀した者」の「団体の活動」を「組織的犯罪集団の活動」に改めるとともに、その活動を「組織的な犯罪集団の意思決定に基づく行為」であって、その効果または利益が当該集団に帰属するものに、その集団を「結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪の実行にある団体」に限定した。新案は、これを踏襲するとみられる。

 さらに、06年修正案には処罰要件として「犯罪の実行に必要な準備その他の行為が行なわれた場合」が加えられたが、新案では、計画(共謀)した者のいずれかにより「犯罪の実行のための資金または物品の取得その他の当該犯罪の実行の準備行為が行なわれたとき」と、より限定されている。

 この06年修正案は、政府が錦の御旗とする越境組織犯罪条約が対象の要件とする@組織的犯罪集団の関与A犯罪の合意推進(顕示)行為B犯罪の越境性  のうち、@を盛り込んだものだ。Aについては反映されておらず、これでは「準備その他の行為」の範囲は現行の具体的な準備着手を要件とする「予備罪」より広くなると同時に、処罰要件が十分満たされていなくても逮捕など強制捜査が可能になるとの問題点が指摘された。この点は新案でも変わりはない。Bも同様だ。

 06年の審議当時、与党側が「自爆」するきっかけとなったのは、「政治団体にも適用されるのか」との質問に対する「どういう目的を持って行動しているのかを総合的に判断する」との答弁だったことが思い出される。捜査当局による恣意(しい)的判断と拡大解釈が行なわれる余地があることは、共謀罪法案の本質であり、復活は許されない。

(社会新報2016年9月7日号・主張より)


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