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伊方3号機 再稼働の理由はもはや見当たらない

 四国電力伊方原発3号機が12日、再稼働した。いったん再稼働した関西電力高浜3、4号機が大津地裁の仮処分決定で停止する中、九州電力川内1、2号機が定期検査で止まれば、伊方3号機が動かないままだと「原発ゼロ」状態が再現する。これを何としても避けたいという電力業界、政府の本音が露骨に込められた再稼働だと言えるだろう。

 政府は今夏、大震災後初めて節電要請を見送り、四電は原発1基分に相当する電力が余る状況。火力発電燃料の原油価格低落で経営は2年連続黒字。電力不足も燃費高騰も原発再稼働の理由にならないのに、「再稼働できなければ黒字が見えなくなることもあり得る」(四電社長)との訳の分からない言い方で、再稼働強行を正当化している。結局、事故コストを外部化し転嫁できるシステムに起因する経営上の動機以外に、再稼働の理由はないと自分で言っているようなものだ。

 でも、そのシステムを自ら変える気はない。この現状維持の犠牲に供されているのが、地元住民の命と暮らしの安全だ。熊本地震の経験は、地震の揺れ想定の確かさ、避難経路設定など避難計画の現実性、反復地震による複合災害を招く恐れのある5〜30`圏内屋内退避方針など、既存の計画全体の合理性に疑問符を突き付けた。これらの疑い全てをフタで覆ったまま再稼働を既成事実化している。

 さらに問われるべきは、ウランとプルトニウムの混合燃料(MOX燃料)を使う「プルサーマル発電」を行なう根拠だ。国内外に約48dのプルトニウムを保有し、年8dのプルトニウム生産力を持つ六ヶ所再処理工場の稼働計画を持ちながら、伊方3号機で年0・1dのプルトニウムを燃やすことの、どこが余剰プルトニウムの着実な消費計画なのか。言い訳の口実さえ用意できればよしとする官僚主義の典型ではないか。

 しかも、かつて高浜原発用の英国製MOX燃料データねつ造事件が起きた(その結果、MOXの装荷は中止された)というのに、伊方で使う仏アレバ社製の燃料データは公表されていない。燃料棒が破損しやすくなるなどのプルサーマル固有のリスクに対する不安は全く解消されていない。

 過去の事件・事故の教訓に学ばず、将来の明確な展望も示せず、当然のように安全を請け負うことができず、当面の黒字のためでしかない再稼働がなし崩し的に続く状況を、これ以上容認することはできない。

(社会新報2016年8月24日号・主張より)


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