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オバマ広島訪問 具体的行動が後に続くのか注視を

 オバマ米大統領は5月27日、唯一の核使用国であり最大の核保有国米国の現職大統領として初めて史上初の被爆地、広島を訪問した。オバマ大統領は原爆資料館を視察、原爆死没者慰霊碑で献花し、「私の国のように核を保有する国々は、恐怖の論理にとらわれず、核兵器なき世界を追求する勇気を持たなければならない」と演説した後、被爆者と握手して直接言葉を交わした。こうした一連の行動が、世界に向けて強いメッセージ性を持ったことは明らかだろう。確かに謝罪はなかったが、原爆投下の正当化論が根強い米国政治の現状を考慮すれば、今度の訪問に多くのことを求めるのは難しいとの指摘もあった。

 しかし、まさにそうであるがゆえに、今回の行動を象徴的パフォーマンスに終わらせないためには、具体的な行動が続く必要がある。大統領は広島で被爆の実相にたとえ一端でも触れ、核の非人道性への認識を新たにしたはずだからだ。

 文字どおり具体的な問題として、日本の隣には、核武装をしなければ自らを米国の軍事力から守れないと身構え、核開発の道を突き進む国、北朝鮮がある。この現実をどうするのか。オバマ政権下で朝鮮半島の核問題は前進を見なかったが、この間、米側が平和協定締結の可能性に言及するなど、手がかりがないわけではない。米韓合同軍事演習実施をはじめとする敵視政策の見直しにより、非核化と国際法上の戦争状態終結に向けて歯車が回り出す可能性は十分あるのではないか。少なくとも、日米韓のミサイル防衛連携の強化だけが答えであるはずはない。

 そもそも米国は、核保有国自身の核軍縮努力だけが、自らが主唱する核不拡散政策の国際的な正統性を担保するのだという基本を再確認し、核政策を見直していくことが求められている。

 そして、日本はどうか。米国の「核の傘」の下にあること、すなわち核兵器の役割を肯定し、自身でもプルトニウムをつくりつつ、究極的核廃絶を訴えるという政策の矛盾はこの間、国際的場面では覆い難くなっている。核兵器の非人道性に対する認識の世界的な広がりを踏まえ、核兵器禁止条約の締結交渉を保有国に促す側へと、立場を転換すべきだ。もちろん、小型核の保有は憲法9条に違反するものではないとの安倍首相らの見解は、即刻改めてもらわなければならない。

 オバマ来日の成果は「日米同盟強化」と短絡するなら、それはご都合主義だ。

(社会新報2016年6月15日号・主張より)


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