HOME広報社会新報・主張・一覧>増税再延期 責任回避狙いの見苦しいこじつけ

広報

社会新報・主張

社会新報

増税再延期 責任回避狙いの見苦しいこじつけ

 安倍首相は1日、消費増税の2度目の再延期を表明した。増税が可能となるような環境を整えるために努力すると言明した部分は、最初の延期を表明した前回解散前の14年11月の会見の映像が挟み込まれたものだと言われても、違和感はないだろう。それほど、首相の説明は実に苦しかった。

 会見に先立ち首相は、サミットで「リーマン・ショック前に似ている」と発言したことはないと言い出し、これは世耕官房副長官の説明不足のせいということになった。笑止だ。サミット後会見でリーマンを引き合いに出して「世界経済が危機に陥るリスクに直面している」とし、消費増税延期の検討を表明したのは首相自身だ。このリーマン前との認識が「ない」のであれば、世界経済のリスクを理由にして増税再延期を言うことが、なぜできるのか。

 そもそも首相は08年夏からの原油価格などの急落データを示し、同年7月の洞爺湖サミットではリスクを見抜くことができなかったと主張していた。だが、この価格下落はリーマン・ショックへと至る米国の金融不安の進行を背景としたものだ。同サミットでは温暖化問題と並んで、実はそれまでの原油高騰が主要テーマとされたように、確かに見通しは甘かったかもしれないが、直面していたリスクとはグローバル金融資本主義のもたらすリスクにほかならない。再びリーマンの轍(てつ)を踏まぬためにと言うのであれば、今度のサミットで首相は、投機マネー暴走の制御につながる金融取引税の導入やタックス・ヘイブン規制の旗振り役を買って出てもおかしくなかったはずだが、そんなそぶりは見せなかった。

 結局、アベノミクス失敗が今回の「新しい判断」の理由であることを認めたくないだけなのであり、参院選の争点は「アベノミクスを前に進めていくのか、後戻りするのか」だと開き直っている。その柱は「1億総活躍プラン」らしい。だが、社会保障財源確保と消費増税をセットとする「一体改革」レジームがある限り、政府からすれば増税できなければ社会保障を削ればいいということだ。後に残るのは首相が「1億総活躍」の看板だとする「働き方改革」という名の「1億総働かせ改革」だろう。

 一方、今回ダブル選に持ち込めなかったことで、総裁任期中の改憲を公言した首相の思惑が修正を迫られているのも事実。憲法と生活破壊の政権にとどめを刺す参院選はもうすぐだ。

(社会新報2016年6月8日号・主張より)


HOME広報社会新報・主張・一覧>増税再延期 責任回避狙いの見苦しいこじつけ