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TPP先送り ごまかしはいつまでも通用しない

 参院特別委員会の設置が断念され、今国会でのTPP(環太平洋経済連携協定)承認は見送られる公算となった。衆院特別委の審議冒頭から、交渉資料は「黒塗り」、金銭疑惑で辞任した甘利前担当相は「体調不良」で雲隠れ、鶴岡首席交渉官は英国大使に転じ、「内幕本」の出版を予定していた西岡委員長は「委員長は答弁する立場ではない」、安倍首相は「甘利氏がここに出てきて答弁する必要はない」と開き直るありさまだったのだから、批准強行断念もいわば当然だろう。

 しかし、この光景には既視感がある。昨年の戦争法案審議だ。法案提出前に夏の成立を勝手に対米約束しておいて、野党が廃止法案を提出すると、「廃止すれば日米の絆は毀損(きそん)される」と審議を拒否する。「日米同盟」が国会や民意、さらに憲法よりも優先されるのは当然で、今さら言う必要もないという態度は、TPP問題にも通底する。

 この点で、TPPに関税撤廃の「除外」(関税撤廃や削減の対象としないこと)規定が存在しないことは、重要5品目(項目)について関税撤廃の「除外または再協議の対象とすること」とした13年衆参農水委決議に反するとの野党の指摘を、TPPに除外や再協議(扱いを将来の交渉に先送りすること)の対象がない(すなわち全品目が関税撤廃の対象になる)ことは最初から分かっていたことと言わんばかりにはねつける政府側の態度には、国会軽視も極まれりの感がある。

 特に驚かされたのが、TPPの再交渉について「あり得ない話だ。仮に求められても応じる考えは全くない」とした7日の首相答弁だ。あたかも関税の扱いを含め、今後合意内容は動かないとも受け取れる言辞だ。では、米豪など農業輸出国5ヵ国の要請に応じて「市場アクセスを増大させる観点から」「関税、関税割当およびセーフガードの適用に関するもの」について検討するため、協定発効後「7年を経過する日以後に協議する」と定めた7年後の見直し協議合意は何なのか。これも立派な「再交渉」ではないのか。5項目中、今回関税が残った(無傷と同じではない)424品目に対し、農業輸出国が要求することとは、さらなる関税撤廃以外にあるのか。

 また、品目別「セーフガード」は全て期限付きで撤廃されるのであり、「関税全廃を前提としない」政府の影響試算は、それこそ前提が違う。参院選までごまかせばいいということか。

(社会新報2016年4月27日号・主張より)


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