HOME広報社会新報・主張・一覧>同日選野望 改憲専念のため理由は何でもあり

広報

社会新報・主張

社会新報

同日選野望 改憲専念のため理由は何でもあり

 「引き上げを延期するかどうかは、専門的な見地からの分析も踏まえてそのときの政治判断で決定すべきものだ。引き上げ延期をするためには法改正が必要」

 前回の税率アップ延期時に景気条項を削除した消費増税法の再改正にも言及した安倍首相の発言以降、首相は増税を再延期して同日選に打って出るのではないかとの観測が強まった。

 考えてみれば、前回解散時に「この道しかない」と訴えたアベノミクスが行き詰まれば行き詰まるほど、増税再延期とダブル選の環境が整うことになるのだから、奇妙な話だ。だが、事態はそう単純ではない。5月半ば発表の1〜3月期GDP速報値が判断材料とされるが、実質成長率は前期比なので、どう転ぶかは微妙だし、値は確定値で修正されることも珍しくない。

 問題は、必ずしも景気後退とは言えないという状況になっても(つまり増税延期が困難でも)、首相が解散を選ぶ可能性があることだ。増税に疑問を呈した米有識者の発言を、財政出動の要請と解釈し、「1億総活躍」と銘打った大型経済対策をブチ上げるのだ。中身が曖昧な「同一労働同一賃金」やら「給付型奨学金」やらを野党への「抱き付き戦術」よろしく掲げているのも、その布石ではないか。憲法をも飛び越えて何でも「私が決める」という「アベ政治」の真骨頂だろう。

 では、なぜ解散したいのかと言えば、理由は「私の在任中に(改憲を)成し遂げたい」ということしか見当たらない。7月にダブル選を行なえば衆院任期は4年後の五輪の年の20年7月まで、次の参院選は3年後の19年7月だ。衆参で改憲勢力3分の2議席を確保し、18年9月までの総裁任期の延長あるいは3選を確実にすれば、3年間は改憲に専念できるのだ。解散しなくても衆院任期は18年12月までで、急ぐ必要はないとも言えるが、総裁任期切れとのダブル追い込まれ感のある解散は選ばないだろう。

 ここで注意すべきは、いつ解散しようが、次の参院選は19年7月までないこと。すなわち、衆院3分の2が続いても参院3分の2を確保できなければ、首相のもくろみは実現できなくなる。

 解散の理由など言った者勝ち、勝てば官軍。政治の言葉の一貫性も信頼性もおとしめるだけおとしめておいて、手に入れようとする新憲法とは、非立憲主義的独裁体制のイチジクの葉でしかないだろう。この夏は、大げさでなくアベ政治に鉄ついを下すべき時だ。

(社会新報2016年4月13日号・主張より)


HOME広報社会新報・主張・一覧>同日選野望 改憲専念のため理由は何でもあり