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首相改憲発言 戦争する国への野望は止まらない

 安倍首相の改憲に前のめり姿勢が強まっている。そもそも年頭から、参院選で改憲を訴え、改憲派で国会発議に必要な3分の2獲得を目指すとの発言を反復してきた。最近では、18年9月までの自民党総裁任期を念頭に「私の在任中に成し遂げたい」と踏み込んだ。

 その背景には、アベノミクスの不調があり、選挙では宗教系右派などのコアな支持勢力への依存を強めざるを得ないという事情があろう。しかし、首相は憲法のどこをどのようになぜ変える必要があるのかについて語りたがらない。緊急事態条項はナチス全権委任法と同じとの社民党の福島副党首の指摘に対し、「そうした批判は慎んでもらいたい」と居丈高な態度で議論を封殺したことさえあった(1月19日、参院予算委)。昨年来、合意形成が進んでいない衆参の憲法審査会の状況も頭にあるのだろう。

 その一方で首相は、憲法9条2項について「すでにそのことについて(自民党改憲草案で)掲げながら選挙を戦い大勝を得ている。…2項は変えていくと示している」と述べ、選挙に勝ちさえすれば改憲への国民の信任を得たことになるとの本音をのぞかせている。

 では首相にとって9条改憲の意味とは何なのか。憲法学者の7割が自衛隊は違憲のおそれがあるとする状況を変えるなどとして、自衛隊の憲法上の認知が目的だと説明したこともあるが、3月1日の衆院予算委答弁では、現状追認の域を越えた本当の狙いを隠さなかった。集団的自衛権について「憲法上の制約があって限定的な行使になっている。私どもの憲法草案は国際法上持っている権利は行使できるという考え方の下に示している」と語ったのだ。

 実は戦争法制定を経ても、個別的自衛権発動および「存立危機事態」を除けば、自衛隊が紛争当事者になることは法律上想定されていない。すなわち他国軍後方支援やPKO参加は武力行使ではないとされている。それゆえ、もし紛争当事者となった場合の隊員の法的地位や武器使用と戦時国際法との関係について、整合性ある解釈ができない状況だ。海外で武力行使できないという9条規範が自衛隊を縛っているのであり、憲法の壁はやはり厚いのだ。

 戦争法は9条に違反しないと強弁して戦争法案を強行採決した首相が、その舌の先の乾かぬうちから9条改憲を叫ぶ。フルスペックで戦争する国にしたいという首相の野望は今夏、打ち砕かれなければならない。

(社会新報2016年3月23日号・主張より)


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