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高市「停波」答弁 改憲過程を推進する確信犯的態度

 高市総務相がこの間、政治的公平性などの番組編集準則を定めた放送法4条違反が疑われる放送が行なわれたと判断する場合は(過去前例がない)行政指導を行なうとし、それでも改善されない場合は電波法76条に基づく電波停止を命じる可能性があるとの答弁を繰り返している問題は、各方面に波紋を広げている。

 放送法4条については「放送事業者が自らを律するための『倫理規範』であり、総務大臣が個々の放送番組の内容に介入する根拠ではない」(BPO=放送倫理・番組向上機構)とするのが、いわば定説だ。しかし総務相は、民放労連が2月16日に提出した公開質問状で「何を根拠に『法規範性がある』と考えるのか」とただしたのに対し、同29日付の回答に「4条は法規範性を有するものであると考えますし、憲法との関係においても問題ない」と同23日の衆院総務委で社民党の吉川元議員らに述べた答弁をそのまま再録するだけで、説明を放棄した。なぜ地上波テレビ番組を念頭に置いた議論が行なわれている場で、地上波局は適用対象ではない放送法174条の業務停止命令に言及するのかとの質問に対しても、まともに答えていない。

 また、そもそも4条に違反するのかどうかの判断を、時の政権の政策を推進する立場にある総務相が判断することこそ公平性に欠くのではないかという疑問に対しても、総務相は「BPOはBPOとしての活動、総務省の役割は行政としての役割」と、NHKと民放連が自主的に共同設置した第三者機関の意義を端的に否定する見解を示している。

 なぜこういう姿勢をとり続けるのか。この光景には既視感がないだろうか。あの「聞かれたことには答えない」戦争法審議の再現ではないか。すなわち国会の議論も中立的第三者機関の判断も関係ない、法律解釈は政府がやる、政府がやりたいことは政府が決めるという行政独裁宣言なのだ。

 そうすると、安倍政権の根本的な狙いが見えてくる。これは解釈改憲から明文改憲へと続く改憲プロセスの一環なのだ。「憲法自体が攻撃されているとき、放送事業者に対しても、憲法の敵と見方を単純・機械的に対等に扱うよう法的に強制すること、憲法への基本原理への攻撃をも、それを擁護する主張と対等・公平に扱うよう強制すべきだとの主張は、憲法の基本的原理自体と齟齬(そご)を来す」(立憲デモクラシーの会)ことを見抜く必要がある。

(社会新報2016年3月9日号・主張より)


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