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2016春闘 底上げ・格差是正抜きに好循環なし

 春闘は、円安・株高狙いのはずが逆の円高・株安に振れ、マイナス金利開始前からそのアナウンス効果が帳消しになる中での波乱の幕開けとなった。足元の経済は、15年10〜12月期のGDP(速報値)が年率換算で1・4%のマイナス成長、同年の実質賃金指数(同)も4年連続減という状況だ。連合が「企業の収益を適正に分配させるという後追い型要求ではなく、個人所得の向上で家計消費を拡大し、それを通じて内需拡大を図ることによって、結果的に企業収益が改善されるという闘争シナリオ」(2016連合白書)を描き、「底上げ・底支え」を重視する理由はまさにここにある。

 連合は、「月例賃金の引き上げにこだわる」根拠として、賃金などの増加によるマクロの個人消費押し上げ効果で見ると、所定内給与が0・59%なのに対し、時間外割増などの所定外は0・09%、一時金などの特別給与は0・13%にとどまるとのデータを示し、経団連と切り結んでいる。

 連合が掲げるもう一つの柱が「格差是正」。その背後には、ついに全体の4割に達した非正規労働者のうち、主たる家計維持者が47・7%に上る中で、非正規の1時間当たり所定内賃金は同性正社員の男性で64・7%、女性で70・2%にすぎないという現実がある。

 格差問題が大統領選候補指名争いの焦点に浮上した米国では、数値のあるこの約40年間で初めて低所得層(5段階のうちの下位2層)と高所得層(上位2層)の合計が中間層を上回り、高所得層は71年の14%から21%に(うち最高所得層は4%から9%に)、低所得層は25%から29%に(最低所得層は16%から20%に)拡大したと報じられた(ピュー・リサーチ・センターの昨年12月データ)。これを後追いしていいはずがない。

 連合は今回、大手・中小の企業間格差という格差問題の側面にも着目し、この要因として公正取引の欠如を、この帰結として中小企業労働者の低賃金を挙げていることは特徴的だ。「2%(定昇相当分を含め4%)程度」を基準とするという「幅」を容認した賃上げ要求水準に関して、神津里季生会長は白書巻頭言の中で「ともすれば当たり前と捉えられてきた要求時点からの格差是認や、大手追従・大手準拠の回答引き出しなどの発想を転換していく必要がある」と述べ、企業グループ全体を意識した「ボトムアップ型」の春闘につなげるという真意を説いており、注目に値しよう。

(社会新報2016年2月24日号・主張より)


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