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衆院選挙制度 現行制度と定数削減にこだわるな

 衆院議長の諮問機関である衆院選挙制度調査会(座長・佐々木毅元東大総長)は先月14日、現行の小選挙区比例代表並立制を維持した上で、定数を合計10議席(小選挙区6、比例4)削減する答申を行なった。

 いくらかつて小選挙区制導入の立役者だった佐々木氏が座長だとはいえ、前回14年12月の総選挙で自民党が比例では33%の得票率で全体の61%の議席を獲得したという事実を前にして、どうして現行制度を維持し、加えて定数も減らすという結論に至るのか。調査会自身が答申の中で「現行の衆議院議員の定数は、国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見いだし難い」とまで明確に言っているのだから、なおさらである。民意を正確に反映せずゆがめてしまう現行並立制の明らかな弊害には目をつむったまま、1票の格差を是正し、しかも「多くの政党の選挙公約」だとして定数を削るというのだから、かえって現在の制度の欠陥を増幅することを含め、欲張った結果が矛盾だらけという事態に陥るのは当然だろう。

 その矛盾は答申への自民党の態度に表れている。調査会設置を主導したはずの同党内では、答申のうちの「アダムズ」方式による10年ごとの都道府県への定数配分見直しは棚上げし、その中間年で格差を2倍以内に収めるために都道府県内の選挙区境界の調整を行なうとする部分のみをつまみ食いする議論が浮上している。これで1票の格差是正と投票価値の平等を安定的に確保できるのかはなはだ疑問だが、加えて、今回の制度改革論議の「お題」の一つだったはずの定数問題も、地方へのしわ寄せを避けるためだとして行方不明になった。逆に言えば、答申の「砂上の楼閣」的性格があぶり出されている。

 この混迷状況から脱するには、議論をそもそもの地点に戻すしかないのではないか。第1に、国会が法定する対象だと憲法に定める選挙制度の問題について、議論を第三者機関に丸投げし、唯一の立法機関としての役割と責任を放棄したことの誤りを認めること。

 第2に、「現行並立制の功罪を広く評価・検証し」、「民意集約機能の緩和の問題を含め」た抜本的見直しについて議論し結論を得るとした13年6月の全党合意に立ち返り、協議を再開することだ。小選挙区制と定数削減にこだわることが混迷の原因であり、それをやめれば話はかみ合うはずだ。

(社会新報2016年2月10日号・主張より)


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