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代執行訴訟 国はまともに議論戦わす気がない

 政府の沖縄に対する攻撃が止まらない。翁長県知事の辺野古埋め立て承認取り消しを知事に代わって撤回する代執行の前提として国が知事を訴える、キャンプ・シュワブゲート前に警視庁機動隊を投入し、山城沖縄県平和運動センター議長をまたもや逮捕する、等々。その一方、県や名護市の頭越しに同市「久辺3区」に1地区最大1300万円を年度内に配る、返還時期未定だった普天間基地の0・8%の17年度中返還で日米合意する、来年1月に市長選のある宜野湾市へのディズニーリゾート誘致への協力を約束する、等々。なりふり構わず「アメとムチ」の見本のような政策を次から次へと繰り出している。

 2日の代執行訴訟の第1回口頭弁論には翁長知事が出廷して原告の国側と対峙(たいじ)し、「日本に地方自治や民主主義は存在するのか」と意見を開陳した。対する国は、何を主張しているのか。「沖縄の基地のありようを議論すべきではない」「国の存立や安全保障に関わる重要事項について知事に適否を判断する権限はない」と露骨に「安保は国の専権事項」論を展開し、県の主張を封殺しながら、埋め立てができなければ「日米両国の信頼関係に亀裂が生じかねない」と一方的に断じる。国の「存立危機」を判断するのはあくまで政府であり、その政策による利益と不利益について判断するのも政府であり、その理由を説明する必要はなく、不利益は地方と国民が甘受せよということなのだろう。

 県の第三者委員会は7月、前知事の埋め立て承認には法的瑕疵(かし)があるとの報告書を提出し、その理由として@埋め立ての必要性が立証されていないA国土利用上、適正かつ合理的との要件を満たしていないB環境影響評価がずさんであり環境保全措置が不十分C国土理由や環境保全に関する国や自治体の計画に反している  の大要4点を挙げた。政府の態度は、これらの具体的な指摘にまともに答える気などないという宣言にほかならない。

 曲がりなりにも国と地方の対等を掲げた分権改革により、地方自治法に定める代執行は極めて限定的な状況でしか行なえないものと解され、国にはその必要性を具体的に立証する責任があるはずだ。ところが、政府にはその姿勢は見えない。今回の代執行訴訟が、有事法制・戦争法発動による自治体の権限〓奪の予行演習としか映らないのには、十分な理由があるのだ。問答無用の政策は許せない。

(社会新報2015年12月16日号・主張より)


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