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一億総活躍 アベノミクスの破産をごまかすな

 「新三本の矢」を掲げる一億総活躍社会政策が、「三本の矢」を掲げるアベノミクスの単なる衣替えではなく、その事実上の幕引き準備であるとの疑いが濃くなってきた。物価と賃金の上昇を伴う「好循環」をうたってきたが、デフレ脱却を宣言できないのだ。経団連会長がベア容認発言を行ない、日銀総裁が「2%の物価上昇にふさわしい賃上げ」を促すという事態は、この裏事情を語るものだ。

 総活躍緊急対策で安倍政権は、賃上げの恩恵が及びにくい低年金者への1人当たり3万円程度の給付金支給を盛り込んだ15年度補正予算案を編成するとともに、最低賃金の全国加重平均1000円を目指すなどとしている。これがボトムアップ政策への転換を意味するなら歓迎すべきだろうが、事情はそう簡単ではない。

 安倍政権の政策の問題点はまず、消費税収と福祉財源とをリンクさせ、増税か自己負担増かと迫る(実際は増税も負担増もであるが)「税と社会保障の一体改革」の枠内での低所得者対策が行き詰まり、場当たり感を強めていること。12年末の再増税延期に伴い、子育て世帯給付金1人1万円の支給は停止された。15年度1人6000円の低所得者給付金は継続されたが、軽減税率導入までの話。その軽減税率とバーターされる、安倍首相の言う「安定財源」について、自民は「一体改革の枠内」、つまり消費税収増の範囲内との解釈であり、社会保障の自己負担の「総合合算制度」見送りと引き換えだとしている。

 他方、経団連は設備投資増の条件だとして法人実効税率の20%台への引き下げの1年前倒しを勝ち取り、財務省は来年度予算で社会保障費の自然増分の1700億円圧縮を強調する。総活躍対策は子育て支援や介護の充実をうたうが、この間の制度変更に伴う自治体や利用者の負担増、さらに、そもそもの話である消費税の再増税にはほおかむりする。とにかく景気のいい話をブチ上げた方が勝ちだという、政策の劣化が行くところまで来た感がある。

 少子化の最大の要因が、女性非正規労働者の妊娠・出産による離職率が8割という数字に象徴される、雇用の劣化、仕事と生活の両立困難、将来不安であること、これらがデフレの原因でもあることは、衆目の一致するところだろう。どうしてこの根本問題には手を付けず、ちぐはぐなつまみ食い政策を進めようとするのか。まずはアベノミクスの失敗を認めるべきだ。

(社会新報2015年12月9日号・主張より)


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