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日本経済縮小 格差拡大放置して展望は見えない

 7〜9月期の実質GDP(国内総生産)1次速報値は年率換算で0・8%減で、2期連続のマイナス成長となった。名目値でも0・1%増にとどまり、年3%以上の成長が条件となる、安倍首相が掲げる目標である名目GDP600兆円は、どこの話かという状況だ。

 片や、14年度の法人申告所得は過去最高を記録したという。企業の内部留保も過去最大の354兆円に膨らんでおり、課税論が浮上するのも道理だ。一体、景気はよくなっているのか、停滞しているのか。投資機会はあるのか、ないのか。

 ここで視点を少し変えてみると、個別事情の問題と思われるかもしれないが、この間、フォルクスワーゲンや東芝という世界に名だたる大企業で、不正なデータや会計処理が発覚した。東芝事件の背景には、子会社化した米原発会社ウェスチングハウスの損失隠しがあるともされている。原発と言えば、三菱重工の蒸気発生器の欠陥発覚でサンオノフレ原発が廃炉に追い込まれるという問題があった。ちなみに同社製蒸気発生器を交換せずに使い続けているのが、再稼働した川内原発2号機だ。経営が苦しくなると、まず安全投資を絞るというのは分かりやすい話だが、そもそも業種を超え、名門企業といえど本来の意味でのもうけを出しにくくなっているという構造的問題があるのではないか。

 厚労省発表で非正規労働者の割合が初めて4割を超えたという事態は、利益の出ない経済と裏腹なのではないかと、多くの人が直感しているだろう。9月速報値で見る実質賃金指数は3ヵ月連続増だというが、実質賃金の低下傾向が止まったのかどうかはまだ即断を許さない。より深刻なのは、上は青天井、下は底抜けという格差拡大の様相だ。

 金融資産、つまり貯金ゼロ世帯の割合は、87年の3・3%を底にして上昇傾向を続け、14年には30・4%に達した。単身世帯では5割に迫る勢いだ。別の角度から見ると、家計の純貯蓄額は一貫して下がっているのに、収益性を図る指標とされる大企業のROE(株主資本利益率)は00年ごろを底に、上昇に転じているのだ。何のことはない。すでに輸出で稼ぐ体質ではなくなっている日本経済は、労働者、庶民から搾り取ることによって息をついているという、実に古典的な姿が見えてくるではないか。

 アベノミクスのファンタジーからどう抜け出すかは、あえて言えば労使の立場を超えた課題だと思われる。

(社会新報2015年11月25日号・主張より)


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