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「慰安婦」協議 被害者が納得できる解決は可能だ

 2日の日韓首脳会談で安倍首相と朴大統領は「慰安婦」問題について、早期妥結に向けた協議の加速で一致した。この展開は正直予測していなかったが、予兆はあった。戦後70年談話で首相は「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいた」などの表現で事実上「慰安婦」問題に2度、言及していた。

 問題はこれからだ。首相は同日のテレビ番組で「大切なことは、合意すればその後、この問題を再び提起しないことだ。妥結というのはそういうことだ」と、韓国政府は司法の独立性や市民の声を無視せよと言わんばかりの発言をした。そもそもこれが加害国側トップが言うべきことなのか。

 日本政府の一貫した立場は、両国間の請求権問題は65年日韓請求権協定で解決済みというものであり、「慰安婦」問題は同協定の対象外だとする韓国側との溝は深い。しかし、解決への道筋がないということではない。むしろ、昨年6月、12回目の「日本軍『慰安婦』問題アジア連帯会議」で示された日本政府への提言に注目すべき局面となった。

 この提言は、「『解決』とは、被害当事者が受け入れられる解決策が示されたときに初めて、その第一歩を踏み出すことができる」と確認した上で、「被害者が望む解決で重要な要素となる謝罪」とは、加害国による加害事実と責任の認定があり、国内外に明確に表明され、そして「その謝罪が真摯(しんし)なものであると信じられる後続措置」を伴うものだとする。具体的には、河野談話などに沿った事実と責任の認定を行なうと同時に、明確で公式な謝罪、謝罪の証としての賠償、真相究明、歴史教育などの再発防止措置などによる「被害回復措置」を行なうことが必要だとする。

 この解決提言の意義について、上野千鶴子東大名誉教授は10月21日の記者会見で「これまで法的責任か道義的責任かという言葉の問題で一歩も先に進まなかったところを、実質的な解決策を示すことで、球は日本政府宛てに投げられている」と語った。また和田春樹東大名誉教授も、5月に出た近著の中で、同様の認識を示し、「河野談話に基づいて、日本政府がやってきたことの全てに立脚すれば、この解決策はいま実行できるはず」と述べている。

 人権問題解決の芯の部分とは何かを考えれば、協議のたたき台はすでに用意されているのであって、「二度と蒸し返さない確約」などは本質的問題ではない。

(社会新報2015年11月11日号・主張より)


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