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川内原発再稼働 脱原発への流れは後退していない

 九州電力川内原発2号機が15日、再稼働した。これに先立ち1号機が8月11日、再稼働しており、13年9月15日以来の「原発ゼロ」はいったん途切れた。

 川内原発再稼働に際しては、事前の噴火予知は不可能であり、仮に予兆を察知しても規模は判断できず、計画的に使用済み核燃料を搬出することなどできないことなど、種々の問題点が指摘されてきた。今回の2号機再稼働でも、09年に九電が自ら言い出し、14年には取り換えられるはずの蒸気発生器が交換されていない(1号機は08年に交換)という問題が浮上した。

 川内原発に関する議論はさらに、新規制基準と原子力規制委をめぐる(すなわち他の原発にも共通する)ものへと発展していった。地元同意の範囲が県と立地市町村の首長と議会に限られていること。伊藤鹿児島県知事が「要援護者の避難計画は10`で十分」と居直ったように、30`圏内自治体の立てる住民避難計画は再稼働の要件として規制委の審査対象になっていないこと。放射性プルーム(雲)の通過前に摂取しなければ効果が薄れるのに、放射性ヨウ素の事前配布の対象は5`圏内の3歳児以上に限定され、30`以遠には事実上対策がないこと、等々。

 これに対し政府はどう対応したか。翁長沖縄県知事の辺野古埋立承認の取り消しに対し、事業者である防衛省沖縄防衛局は行政不服審査法に基づき、「私人」として同じ国の機関である国交相に審査請求などを申し立て、批判を浴びている。ところが、「原発震災」を予言した石橋克彦・神戸大名誉教授ら正真正銘の私人1500人が川内原発の規制基準適合性審査について、同法に基づき許可処分の取り消しを規制委に申し立てたのに、規制委はこれを無視して再稼働手続きを続け、再稼働に至った。しかも、市民の異議申し立てを審理したのは身内の規制庁(規制委の事務局)の一部局というおまけまで付いた。

 また、安倍首相は川内原発に続き、伊方原発の住民避難計画についても「具体的かつ合理的だとの報告を受け、了承した」と述べ、ますます原発事故の責任の所在を曖昧にしている。

 確かに原発護持派の壁は厚い。だが、こうした問題点を浮き彫りにしたことは、この2年間の大きな意義だ。最初の「原発ゼロ」期間は、実は12年7月までの2ヵ月しかなかった。次の、つまり今回のゼロ期間中、電力不足キャンペーンは完全に影をひそめたではないか。

(社会新報10月28日号・主張より)


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