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アベノミクス 失敗を認めて方向転換を図るべき

 安倍首相は9月24日、「アベノミクス第2ステージ」への移行を表明した。「1億総活躍社会」を掲げ、@希望を生み出す強い経済A夢をつむぐ子育て支援B安心につながる社会保障  の新「三本の矢」でGDP600兆円、希望出生率1・8、介護離職ゼロ、50年後も人口1億人の目標達成を目指すのだという。

 では、@金融緩和A財政出動B成長戦略 の旧「三本の矢」はどうなったのか、特に説明はない。それもそのはず、アベノミクスの目標とはそもそも「2年間に物価上昇率2%、名目成長率3%」だったわけだが、これを達成できなかったことを認めたくないのだ。GDP600兆円の新目標に対しては早速、経済同友会の小林喜光代表幹事から「あり得ない数値」とのきついダメ出しがあり、名目成長3%を言い換えて達成を不確定な未来に先延ばししただけだという舞台裏を露呈してしまった。

 皮肉なことに会見翌日の25日、消費者物価指数(生鮮食品除く)が異次元金融緩和開始の13年4月以来、2年4ヵ月ぶりに前年比マイナスに転じたことが発表された。政府は原油価格下落の影響を強調することで、実はこれまでの弱い物価上昇が円安による輸入物価上昇の影響でしかなかったことを白状している格好だ。

 安保の次は経済へ(さらに五輪へ)。首相が60年安保後の池田政権のひそみにならおうとしていることは確かだ。だが、首相の言う1億総活躍社会は戦時中の「進め一億火の玉だ」の言い換えではないかとの直観を抱いた人も多いのではないか。女性の雇用非正規化と貧困化を推進しておいて女性の活躍や子育て支援を叫んでも、結局、育児や家事のサービス労働を市場から調達できるエリート女性のために、非正規の女性を活用することにしかならないことは、もう見抜かれている。誰のための「活躍」なのかが問われるべきだ。

 異次元緩和が生み出したマネーは内外株式市場の不安定性を強めているし、企業は相変わらず過剰資金を抱え込んでいるものの、国内投資や賃金上昇には向かっていない。株価つり上げを政権延命策とするアベノミクスの、これが答えだ。

 片や英労働党のコービン新党首の経済顧問にグローバル累進資本課税を提唱するピケティ氏と反緊縮政策の論客スティグリッツ氏が就任したという。世界の流れは格差是正ではないか。少なくともアベノミクスの方向性とはかなり違う。

(社会新報10月7日号・主張より)


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