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戦争法案成立 違憲立法は可決しても無効である

 国会の内外から「憲法違反!」の声が響く中、成立した法案が今まであっただろうか。砂川判決をもじって「一見極めて明白に違憲無効」と枕ことばで言われた戦争法案(安保関連法案)の本質を射ぬいている。

 国会の外では違憲立法を許すなと叫ぶ人々を警官隊が公安条例やら道交法やらを振りかざして抑え込んだ。法的根拠など説明できぬし、する気もない実力制圧行為だ。この見事なまでの非対称性。警察は言う。「あなたたちの安全のためだから」と。どこかで聞いたことはないか。安倍首相と同じ言い草ではないか。

 権力中枢は、憲法の制約から自由であることを決意した安倍一派に占拠され、行政・警察・軍事機構が唯々諾々と付き従っている。これが今日の日本だと言っても、決して大げさではない状況となっている。元一等陸佐の自民筆頭理事の陣頭指揮の下、防衛大仕込みと言われる棒倒しの戦術を駆使して委員長を守り、採決を演出する。政権は、実は国民にこの姿を見せつけたかったのではないか。

 では、憲法に拘束されない日本の権力は、何に縛られているのか。第1に米国。しばしば指摘されることだが、12年の第3次アーミテージ・ナイレポートには何が書いてあるか。武器輸出制限緩和、秘密保護法制整備、原発再稼働、そして集団的自衛権行使容認、駆け付け警護、ホルムズ海峡掃海、南シナ海共同監視など。首相の仕事とはこのプログラムの実行だったのだ。

 そして、財界の要求。戦争法案絡みの「名言」は多いが、強烈な違和感を感じた、テレビで見た別の問題に関する光景をあえて挙げよう。年金機構からの情報漏れが大問題となり、マイナンバーとの接続延期も言われ始めた6月初旬、産業競争力会議に出席した首相は、マイナンバーの利用拡大を柱の1つとする成長戦略骨子案の意義を淡々とした表情で語っていた(というより、官僚の作文を読んでいた)。この人は感受性を欠いているとそのとき思った。政治家なのに、本当は役割をこなすこと以外に関心がなさそうだ(見ていれば分かる)というのは、ニヒリズムであり、昨今流行の言葉で言えば「反知性主義」そのものだろう。

 だが、弾劾だけしている場合ではない。野党共同の努力で、戦争法廃止法案の提出などに早速取り組まなければならない。イラク派兵法廃止法案が07年に参院で可決(衆院で審議未了廃案)された例もあるのだ。

(社会新報9月30日号・主張より)


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